32 感じる温もり。 ページ35
side.A
試合が始まってまもなく一時間。
日曜日という事もあってか、いつもより観戦客も多い。
そのせいかいつも見つけられるはずの人達を見つける事が出来ない。
こういう時、頭をよぎるのは考えたくもないことで。
それでもタイマーがなるまで俺はボールを追い続けなければいけない。
シュートを決めて試合会場が沸く。
相手チームもうちの大学と変わらないハイレベルのディフェンスで俺がボールを持つと徹底的にマークしてくる。
こんな事、バスケをしている以上、普通に起こりうることで今までだって無かった訳ではない。
それでも、どこか焦っている自分がいる。
抜けれそうにない壁にチームメイトにパスを出すも俺が投げたボールは思わぬ方向に飛んだ。
それは間違いなく俺のミスで。
後輩も、どうしたのかと驚きの視線を送ってくる。
結局、第２ピリオドを終えた時点で相手チームにかなりの差をつけられ負けている。
休憩時間もチラチラと観覧席を見れば見覚えのある顔を見つけた。
「翔ちゃん、大丈夫かな、、」
声に出したつもりはなかったが、放たれたその言葉は遠く離れた松潤に届くはずもなく虚しく消えた。
松潤はバッチリ、ビデオを構えて俺の方を見て大きく頷いた。
俺も松潤に向けてガッツポーズをする。
コートに入れば相手チームのキャプテンが俺に近付いて来る。
「相葉、らしくねぇじゃん。今日はあんまり調子出てねぇんじゃね？」
嫌味ったらしいその言葉に普段なら真に受ける俺も今日はどこか違った。
「今日は、じゃなくてさっきまではな。こっからは本気で行くから覚悟しろよ」
強気に出て相手の挑発に乗った。
「いけーー！」
「もっと固めろ！」
試合が再開しても相変わらずの歓声だ。
でも今日だけはこの歓声も全部スルーさせてもらう。
「今日は負ける訳にはいかないからさ」
翔ちゃんに、ちゃんと勝ったよって報告しないと。
ここに居ないということは、、
そういうことだろう。
だったら俺が翔ちゃんを、
『俺さ、雅紀がバスケしてる姿、好きなんだ。ちょーカッコイイんだよ』
この一言で俺はここまで来れたから。
「相葉、攻めろ。ディフェンスは他に固めさせろ。お前はとにかく攻めろ」
コーチは点差があと僅かだということに、とにかく攻めろと言った。
＿＿＿雅紀なら絶対決めれるよ。
翔ちゃんの声が聞こえた気がしたその時、俺のシュートは見事に決まった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 673人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
未翔(プロフ) - 蒼星さん» 読んで頂きありがとうございます。そう言って頂けると有難いです。出来るだけ更新したいと思いますので、これからもよろしくお願いします。 (2019年5月26日 12時) (
レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
蒼星(プロフ) - 初めまして。毎回更新を楽しみに拝読しております。わざわざ更新出来ない旨のご連絡ありがとうございます。読者は作者様から与えて頂くもので楽しませてもらっていますので多少の待ち時間は気にならないです。お気になさらずこれからも楽しみに待っています。 (2019年5月26日 11時) (レス) id: c0123debb3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：未翔
| 作成日時：2019年5月19日 21時
