29 些細な事でも。 ページ30
side.S
梅雨の時期にしては珍しいぐらいの快晴の今日は雅紀のバスケの試合当日。
対戦校もうちの大学に負けないぐらいの強豪で雅紀も結構緊張してる。
ここのところ毎日朝練して、講義がない時は殆ど体育館で練習してた、とニノが言っていた。
今日も朝早くから出て行った。
潤が作ったお弁当の中に入れといたヤツ、見てくれてるかな、雅紀。
「翔さん、そろそろ行く？」
「うん、てかその荷物どうしたの？」
カメラや弁当など諸々詰め込んだらしいその鞄は結構な大きさで。
それを引っ提げて立ってる潤は完全にこの家のお父さん的存在だ。
「雅紀が頑張ってるところ撮らなきゃ」
普段はthe男って感じなのに時々、女子っぽくなるんだよな。
「大野さんはまだ寝てるの？」
「いや、さっき部屋覗いた時は起きてたけど」
智くんの事だし、準備に時間掛かるって事はないしな。
「もしかしたらニノのとこかも？」
智くん、昨日もニノに聞いてみるーとか何とか言ってたし。
またニノに新たなゲーム仕込まれてるな。
「じゃあ俺、和の部屋行って二人連れてくるから翔さんはちょっと待ってて」
そう言われて何をする訳でもなくソファーに座ってじっと待っていた。
外はこんなに晴れているのに風が吹きつけ、窓がガタガタと揺れる。
『ちょっと行ってくるね。すぐ帰ってくるから』
あぁ、
どうしてこんなに些細な事で俺の記憶は、心は蘇るのだろう。
「はぁ、、はっ、さと しくん、」
身体中が一気に震えて寒さが止まらない。
呼吸も乱れて、自分ではどうして良いかさっぱり分からない。
「いか、ないで…は はっ、智くん、、」
ただ智くんにそばに居て欲しくて、帰ってきて欲しくて。
あの時もきっとこんな気持ちだったのだろう。
ソファーに座っていることもままならなくなって、床に座り込むようににして落ちた。
そこからは意識を保っていることすら限界で。
寒さと息苦しさと不安定な心が俺の視界を真っ暗にした。
「翔くん！聞こえる？、翔くん！」
大丈夫だよ、智くん。
何も見えないが、智くんの声と抱き上げられる感覚はあった。
今日、雅紀の試合なのに。
俺こんなんじゃ……行けない。
ごめん、雅紀。
ごめんね、智くん。
『翔くん、翔くんは？』
『俺が…俺のせいだから。ごめん、翔くん』
俺はいつも貴方を困らせてばかりだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 673人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
未翔(プロフ) - 蒼星さん» 読んで頂きありがとうございます。そう言って頂けると有難いです。出来るだけ更新したいと思いますので、これからもよろしくお願いします。 (2019年5月26日 12時) (
レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
蒼星(プロフ) - 初めまして。毎回更新を楽しみに拝読しております。わざわざ更新出来ない旨のご連絡ありがとうございます。読者は作者様から与えて頂くもので楽しませてもらっていますので多少の待ち時間は気にならないです。お気になさらずこれからも楽しみに待っています。 (2019年5月26日 11時) (レス) id: c0123debb3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：未翔
| 作成日時：2019年5月19日 21時
