41 初めてのこと。 ページ47
side.M
結局あれから、俺は翔さんと大野さんに詳しく話すことはしなかった。
でも、大野さんは気付いているだろうと和は言っていた。
俺もそんな気はしている。
あの大野さんが一度は動揺していたけど、落ち着いて考えれば勘のいい大野さんなら気付きそうなものだ。
翔さんは、その内容までは知らないものの分かっているのだと思う。
そこまでして隠し通す意味があったのかも分からないままだが、これが最善の方法だと考えたんだ。
「でも、それが明日なんて何か実感湧かないよ」
「相葉さんは潤くんが向こうに行っても湧かないんじゃないですか？」
さすがに、それはないだろと心でツッコミを入れつつもこの二人の気持ちが分からないこともなかった。
いや、痛いほど理解出来る。
「ずっと誰かが一人で海外なんてありませんでしたもんね、今まで」
「まぁ、それが約束の一つだからな」
和のトーンはどこか低くて、俺も返す言葉に少しだけ迷ってしまった。
また、そんな空気を直ぐに察知したであろう雅紀が言葉を続けた。
「松潤、一応料理人の設定なんだから忘れないでよ。特に、翔ちゃんの前では」
「潤くんは相葉さんみたいに馬鹿じゃありませんから。それぐらい分かってますよ」
「もう、そういうニノもだよ！」
「俺としては雅紀が一番心配なんだけど」
「私も同感です」
「なんだよ、二人して〜」
こうして自ら馬鹿になってくれる雅紀は本当に空気の読める優しい人だ。
俺にとっても和にとっても近くて、それでいてずっと変わらない先輩だ。
俺が勝てないと、頭が上がらないと思うのは常に全力で突き進んでいく姿を知っているからだ。
それに、和はもうずっと雅紀と居るから適わないことも心の奥では分かっているはずだ。
それでも、あぁやって突っ込んでいけるのは和らしいというか。
「お土産、期待してますからね」
「分かってるよ、でも俺はちゃんと二人が一番喜ぶお土産は知ってるから」
俺がそう言えば二人とも大きく頷いて笑った。
経った１週間離れるだけ。
いや、それでもこの家ではあってはいけない事だった。
初めての出来事に色々考えてしまう自分がいた。
明日からなら今日はお別れ会みたいになりそうだなぁ、とか。
俺が居ないんなら１週間ハンバーグが続いたりして雅紀が拗ねてたりして、とか。
どれもこれもくだらない事ばかりだけど、考えている俺は馬鹿みたいに幸せそうだったと思う。
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未翔(プロフ) - 蒼星さん» 読んで頂きありがとうございます。そう言って頂けると有難いです。出来るだけ更新したいと思いますので、これからもよろしくお願いします。 (2019年5月26日 12時) (
レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
蒼星(プロフ) - 初めまして。毎回更新を楽しみに拝読しております。わざわざ更新出来ない旨のご連絡ありがとうございます。読者は作者様から与えて頂くもので楽しませてもらっていますので多少の待ち時間は気にならないです。お気になさらずこれからも楽しみに待っています。 (2019年5月26日 11時) (レス) id: c0123debb3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未翔
| 作成日時：2019年5月19日 21時
