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「終わりだ」
「何でですか？
まだ10カウントは経っていないはずです」
「一度ダウンしたら試合終了、最初からその約束だっただろ」
興奮してまくし立てるスキンヘッドを、会長の淡々としたセリフが遮る。
一瞬言葉に詰まったスキンヘッドだが、構えを解くことなく一歩前に出た。
「そもそも、ダウンじゃありません。腹を押されただけで、ノーダメージです。だから今のはスリップで……」
「馬鹿野郎！これ以上続けたら、お前が大怪我するだろうが！」
会長は顔を真っ赤にすると、
唾を飛ばしてスキンヘッドを怒鳴りつける。
目を見開いたスキンヘッドの拳が、ゆっくりと下がっていく。
「……すみません」
項垂れるスキンヘッドの肩を軽く叩くと、会長は振り返って大野を見た。
「約束だ。どんな事でも話してやるよ。とりあえず事務室まで来てくれ」
「適当に座ってくれ」
パイプ椅子に勢いよく腰を下ろした会長は、テーブルに置かれていた湯呑みの緑茶を一気にあおる。
櫻井と大野は、テーブルを挟んで対面に置かれた椅子に座った。
櫻井は大野とともに、ジムの奥にある事務室に通された。
十畳ほどのスペースにはグローブやミット、壊れたサンドバッグ、トロフィーなどが所狭しと散乱している。
いかにも昔ながらのボクシングジムといった雰囲気だ。
壁には一面に額に入った賞状が飾られていた。
ジムとを仕切る壁には大きなガラス窓がついていて、練習の様子を伺うことができる。
ジム生たちは各々のトレーニングに戻りつつも、ちらちらと事務室の様子を伺っていた。
「さっきはありがとうよ」
会長は大野を横目で見ながらつぶやいた。
「何のことでしょう？」
大野は空惚けた。
「スパーリングのことに決まってんだろ。あんたが本気出していたら、うちのホープが潰されちまったかもしれねぇ」
「そんなことありません。勝負はどっちに転ぶか分かりませんでしたよ」
「謙遜もいきすぎたら嫌味なんだよ。それで俺から何が聞きたいんだ？」
「さっきも言ったように、タイガー雅次さんについてです。確かこちらのジムに所属していたんですよね」
大野が訊ねると、会長は頭痛でもしたかのように顔をしかめた。
「ああ、たしかにうちの選手だった。何であいつについて知りたいんだ？」
「ちょっとした知り合いなんです。彼の居場所を知りたいんですが、ご存知ありませんか？」
「……あいつとは何年も前から没交渉だ」
会長は吐き捨てるように言った。
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pecopeco125(プロフ) - 5人でいる今、でした。タイトルミスすみません。 (2022年3月19日 1時) (
レス) id: 9e262934ff (このIDを非表示/違反報告)
pecopeco125(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらっています。 この度お願いがあり、メッセージ送りました。5人で今、のパスワード教えて頂きたいです。 よろしくお願いします！ (2022年3月19日 1時) (レス) id: 9e262934ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未翔
| 作成日時：2022年1月9日 19時
