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「ふかしこくんじゃねえ！またそのガキを痛めつけられてえのか？それとも、そのデカい腹を踏みつけてやろうか？」
田村が脅すと、女は隣にいる少年を抱きしめつつ腹を庇うように体を縮込めた。
「お、お願いだからやめて。
何でもするから子供達だけは……」
「なら、さっさと宝石の在処を教えろって言っているんだよ！」
放心状態なのかさっきからほとんど動かない少年の襟首を、田村は無造作に掴む。
「やめて！雄太が最後に電話で言ってきたことを教えるから！」
「電話で？」
田村が視線を向けると、
女は悔しげに唇を噛みながら頷いた。
「去年の暮れ、深夜に急に電話があったの。出てみたら雄太だった。何か焦っているような凄く苦しそうな声で『今から言うことをよく聞けよ』って言ってきた」
「……続けろ」
田村が先を促す。
「雄太は『もし俺が死んでも、絶対火葬するな。墓に入れる前に腹の中を調べろ』って……」
腹の中を調べろ？
けれど俺達は
川奈の死体の腹を開いて調べたんだ。
けれど『双子の涙』は見つからなかった。
「そしてそのあと、
『胃の中を調べてもらえ』って……」
女がおずおずと呟いた瞬間、
田村はサングラスの下で目を大きくした。
「もしかしてあの馬鹿……」
菊野が呻くように言う。
「ああ『双子の涙』を食いやがったんだ」
田村は食いしばった歯の隙間から
声を絞り出す。
たしかに川奈の腹の中は調べた。
しかし、わざわざ胃や腸を開いて調べることまではしなかった。
死体をバラバラにする時も、
チェーンソーで適当に切っただけだ。
あの時もっとしっかり調べておけば……。
田村は深呼吸をして苛立ちを希釈する。
もう終わったことを
後悔している場合じゃない。
川奈が『双子の涙』を飲み込んでいたと分かったなら、
すぐにでも回収しなくては。
「後藤田さんに連絡を入れろ」
田村は菊野に囁く。
菊野は頷くと、ジャケットのポケットからスマートフォンを取り出しながらキッチンに向かい、そこでごそごそと話しはじめる。
その様子を女は不安げに眺めていた。
「連絡終わったぞ」
数分して菊野がキッチンから戻ってくる。
「なんだって？」
「俺達が戻ったらすぐに回収に向かうってさ。
今日は忙しくなりそうだな」
「しかたねえよ。それより
さっさとこっちの方を始末しようぜ」
あとはこの親子を殺って、その遺体を……。
そんなことを考えながら女に視線を向けた
田村は口を半開きにした。
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ここここ(プロフ) - はじめまして！！！最近この作品と出会いまして、面白すぎて一気読みしました！読みながら「この人が怪しい、いやあの人も怪しいな…」と推理しながら読みましたが、まだまだ私の推理は稚拙なものでした…笑 続編も楽しみです！ (2021年11月18日 19時) (
レス) @page44 id: 6c5860f770 (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - stormさん» 読んで頂きありがとうございます。続編の方も宜しくお願いします！ (2021年11月12日 12時) (レス) id: 53c29ae25f (このIDを非表示/違反報告)
storm - どうも！とうとう完結か…とfin.の文字に寂しさを感じていた私ですが、続編という文字を見て舞い上がりましたw本当に完成度が高くて、すごくハラハラドキドキさせられる、素晴らしい作品でした。完結までお疲れさまでした！そして続編でもお世話になります！ (2021年11月9日 22時) (レス) @page43 id: 5bdda0872c (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - 彌生さん» 初めまして。読んで頂きありがとうございました。是非、続編でもドキドキを味わって頂けたらと。 (2021年11月9日 16時) (レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - あきらさん» 初めまして。サスペンスが好きなんですね。楽しんで頂けたようで良かったです。 (2021年11月9日 16時) (レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未翔
| 作成日時：2021年9月24日 20時
