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「これで信じてもらえましたか古手川さん
翔くんがここに来ていないことを」
大野の声が聞こえてくる。
やはり古手川は俺を捜している。
櫻井の心臓が激しく鼓動しはじめた。
「たしかに地下のバーにはいませんでした
けどねぇ……」
古手川の疑わしげな声が響く。
なるほど、大野は地下のバーに古手川を連れ
て行き、自分が隠れていないことを確認させ
たのか。
櫻井は状況を飲み込む。
「その部屋から逃げ出したのは本当に翔くん
なんですか？」
「ええ、まず間違いありません。室内から採取された指紋が一致しました。それに防犯カメラが逃げる櫻井先生の画像を捉えています」
大野の質問に古手川が答えた。
それと同時に椅子が引かれる音が
聞こえてくる。
「マスター、ブレンドを２つ。けれどなんで
翔くんが、その……なんでしたっけ……」
「鍋島、鍋島一太です」
「ああ、その鍋島一太という男の部屋に行っ
たんでしょう？翔くんとその男の関係は？」
「……それは私より大野先生の方が
ご存じでは」
古手川の声が低くなる。
「翔くんはたしかにうちの従業員ですけど
彼のプライベートまでは知りませんよ」
「そうですか……鍋島はもともとは暴力団員で、傷害での前科もあります。ちなみに昔所属していた組は、東南アジアから覚醒剤を仕入れて売りさばいていました」
「へえ、そうなんですか」
大野は軽い口調で言う。
暖簾に腕押しの大野の反応に鼻白んだのか、
古手川の声が聞こえなくなる。
マスターが二人の前にコーヒーカップを置く
音がやけに大きく響いた。
数十秒コーヒーをすする音だけが空気を
震わせる。
櫻井は必死に息を殺し続けた。
「……大野先生」
古手川の重量感のある声が沈黙を破る。
「櫻井先生は鍋島一太殺害の重要参考人としてまもなく指名手配されると思われます……もし彼から連絡があればお知らせ下さい。間違っても彼をかくまったりなさらないでください」
「……仲間を売れと仰るんですか？」
「売る売らないっていう話じゃありません。これまであなた方がやってきた強引なやり方に私は目をつぶってきました。けれど今回はそうはいきません。櫻井先生をへたに庇おうとすれば、皆さんまで巻き込まれますよ」
「なるほど、考えておきます。
お忙しいのに、ありがとうございました」
大野は慇懃無礼に答える。
古手川のため息が聞こえてきた。
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ここここ(プロフ) - はじめまして！！！最近この作品と出会いまして、面白すぎて一気読みしました！読みながら「この人が怪しい、いやあの人も怪しいな…」と推理しながら読みましたが、まだまだ私の推理は稚拙なものでした…笑 続編も楽しみです！ (2021年11月18日 19時) (
レス) @page44 id: 6c5860f770 (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - stormさん» 読んで頂きありがとうございます。続編の方も宜しくお願いします！ (2021年11月12日 12時) (レス) id: 53c29ae25f (このIDを非表示/違反報告)
storm - どうも！とうとう完結か…とfin.の文字に寂しさを感じていた私ですが、続編という文字を見て舞い上がりましたw本当に完成度が高くて、すごくハラハラドキドキさせられる、素晴らしい作品でした。完結までお疲れさまでした！そして続編でもお世話になります！ (2021年11月9日 22時) (レス) @page43 id: 5bdda0872c (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - 彌生さん» 初めまして。読んで頂きありがとうございました。是非、続編でもドキドキを味わって頂けたらと。 (2021年11月9日 16時) (レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - あきらさん» 初めまして。サスペンスが好きなんですね。楽しんで頂けたようで良かったです。 (2021年11月9日 16時) (レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未翔
| 作成日時：2021年9月24日 20時
