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「あ、あの、ちょっと待ってください。
俺は病院の面接を
受けに来たんですけど……」
「だからその面接をするんだよ。
まあ、正確には病院じゃなくて
クリニックだけどね」
「でも、ここってバーじゃないですか……」
櫻井は眉根を寄せて店内を見回す。
「面接だからって会議室でやるって
決まりがあるわけじゃないだろ。
こういうところで気張らないで面接する
っていうのも、なかなか
乙なものじゃないか」
大野はそう言うと、櫻井に
「そこに座って」と、すぐ近くの
ソファーを勧めた。
櫻井はためらいつつ
革張りのソファーに腰掛ける。
「さて、じゃあ何から始めようか」
大野は首筋をこりこりと掻く。
「櫻井くんはうちのクリニックのことを
どれくらい知っているのかな？」
「……普通のクリニックではないと
聞いています。詳しいことは
直接教えてもらうようにと、
紹介してくださった三森教授から
言われました」
櫻井はわきに置いていたバッグを開け、
中から書類を取り出して大野に差し出す。
「あの、とりあえず履歴書を
持ってきたんですが……」
「ああ、履歴書ね……」
履歴書を受け取った大野は興味なげに
視線を落とす。
隣に座った少年が、
大野の手元を覗き込んだ。
「四葉記念病院の外科コースの初期研修を
修了後、そのまま外科後期研修を
３年受けたのか。すごいね、
外科医のエリートコースじゃん」
少年がおどけるように言う。
彼の言葉どおり、
四葉記念病院は苛烈な外科研修で有名だった。
櫻井も約５年間、
院内にある研修医室に住み込み、
朝となく夜となく働き続けた。
その分、執刀できる手術は豊富で、
５年の研修を終える頃には外科医として
十分に独り立ちできるほどの実力を
身につけていた。
本当なら、今年の４月から腹部外科の
スタッフとして四葉記念病院に勤めるはずだった。
それなのに……。
あの夜のことが頭をかすめ、
櫻井は軽く唇を噛む。
「でさ、なんでエリートコースに乗っていた君が就活なんてしているわけ？」
少年の顔にいやらしい笑みが浮かぶ。
櫻井は唇を噛む力を強めた。
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未翔(プロフ) - あきさん» 読んで頂いてありがとうございます！ここから更に急展開ですのでお見逃し無く！！ (2021年5月25日 22時) (
レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - shioribaron0307さん» ありがとうございます！ (2021年5月25日 22時) (レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - うわぁ〜急展開！！ワクワクしますね。続きを楽しみにしてます。 (2021年5月25日 15時) (レス) id: de45e6159d (このIDを非表示/違反報告)
shioribaron0307(プロフ) - お話面白かったです。続き楽しみにしています！ (2021年5月22日 14時) (レス) id: 7628593eb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未翔
| 作成日時：2021年5月15日 12時
