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こいつ、明らかに
あの事件のことを知っている。
まあ、全国ニュースであれだけ大きく
取り上げられたのだから不思議もないが、
だからってなんでこんなガキに偉そうに
面接されないといけないんだ。
「……僕は子供じゃないですよ」
少年は低い声でつぶやくと、
鼻の付け根にしわを寄せた。
わけが分からず、
櫻井は「は？」と呆けた声をあげる。
「だから、僕は君より年上なんです。
もう30過ぎで、
このクリニックのスタッフだ。だから
偉そうに君の面接に参加しているんです」
「はぁ？え？」
櫻井は目をしばたたかせる。
まず、目の前の少年(としか見えない男)が
自分より年上だということが
信じられなかった。
しかしそれ以上に、
まるで心を読まれたかのように、
自分が考えていたことを正確に
言い当てられたことに驚いていた。
櫻井が口を半開きにしていると、
大野がくぐもった笑い声をあげる。
「驚かせて悪かったね。こいつは二宮和也、
本人が言った通りこう見えても三十路で、
うちのクリニックのスタッフ、精神科医だ。
あと、サトリみたいなものだ」
「サトリ……？」
「知らないのかい？妖怪だよ。
人の心を見透かす妖怪だ」
妖怪？いったい何を言っているんだ？
「大野さん、おかしな紹介しないでよ。
話がややこしくなるじゃないか。
僕はただ、普通なら気づかないぐらいの
微妙な表情筋の変化から、その人間の
心の動きを読み取っているだけだって。
普通の人間だって、無意識のうちに
ある程度はやっていることだよ」
二宮は苛立たしげにかぶりを振る。
「お前の読心術は十分に妖怪レベルだよ。
まあそれはさておいて、櫻井くん」
唇を尖らせる二宮の背中を
軽く叩いた大野は、
すっと目を細めて櫻井を見る。
「さっきの質問に答えてくれるかな？
なんで君は有名病院を辞めて、
うちのクリニックに就職面接に来たのか」
大野の視線に射すくめられながら
櫻井は逡巡する。
あの事件については語りたくはなかった。
けれど……。
「……医療事故を起こしました」
櫻井は喉の奥から声を絞り出した。
「医療事故ね。どんな医療事故を？」
大野は淡々と質問を重ねる。
「当直中に泥酔して、患者を死なせた
……らしいです」
「ああ、そうらしいな。ニュースで見たよ」
大野は軽く肩をすくめた。
やっぱり知っていたのか。
櫻井は拳を握りこむ。
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未翔(プロフ) - あきさん» 読んで頂いてありがとうございます！ここから更に急展開ですのでお見逃し無く！！ (2021年5月25日 22時) (
レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - shioribaron0307さん» ありがとうございます！ (2021年5月25日 22時) (レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - うわぁ〜急展開！！ワクワクしますね。続きを楽しみにしてます。 (2021年5月25日 15時) (レス) id: de45e6159d (このIDを非表示/違反報告)
shioribaron0307(プロフ) - お話面白かったです。続き楽しみにしています！ (2021年5月22日 14時) (レス) id: 7628593eb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未翔
| 作成日時：2021年5月15日 12時
