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「とりあえず、川奈雄太について知っている
ことを教えてくれるかな？」
大野はにこやかに言う。
浅井は血の気が引いた顔をゆがめた。
「そんな奴、知らねえって言っているだろ！
俺はもう行くからな！」
唾を飛ばして怒鳴りながら立ち上がろう
とする浅井の肩に、大野が軽く手を添える。
それだけで浅井は、針で固定された標本の
ように動けなくなってしまった。
「こんなに大声出して、周りの宿泊客に
聞かれて通報されたりしないかな？」
櫻井はハラハラしながら隣に立つ
奈美に囁く。
「大丈夫ですよ。このホテル、高級なだけ
あって防音がしっかりしてるから。それに
万が一フロントに連絡がいっても、警察に
通報されたりはしません」
「なんでそう言い切れるの？」
「このホテルのオーナーを、以前うちの
クリニックで治療したんです。それ以来
色々と融通を利かせてくれるんですよ。
だから、こういうことをする時は、
いつもこのホテルを使っているんです」
「いつもって……。
よくこんなことをしているわけ？」
櫻井に、奈美は「時々ですよ、時々」と
軽い口調で答えた。
やっぱりこの人達、普通じゃない。
櫻井の胸に湧く不信感が濃度を増していく。
「それじゃあニノ、頼むぞ」
浅井を椅子に張り付けながら、大野は
振り返って二宮に声を掛ける。
二宮は「はいはい」とつぶやきながら
浅井の正面に立った。
「なんなんだよ、拷問でもする気かよ?!」
浅井は恐怖で顔をゆがめながら、いまにも
泣きそうな口調で叫ぶ。
二宮は立てた人差し指をメトロノーム
のように左右に振ると、ちっちっと舌を
鳴らした。
「拷問？僕はもっとスマートにやりますよ」
「俺はなにも話さないぞ！」
「話す必要なんてないですよ。君の表情が
全てを告白してくれますからね」
二宮は軽く顎を引くと、くぐもった笑い声を
漏らす。
「さて、それじゃあ始めましょう。君は誰が
川奈雄太をあんな目にあわせたか、
心当たりはあるかな？」
「そ、そんなこと知るわけ……」
浅井が叫びかけた瞬間、二宮はその口の前に
人差し指をかざし、黙らせる。
「君が犯人に心当たりがあることは
分かりましたよ」
「な？俺はそんなこと言ってないだろ！」
目を剥く浅井を、二宮は酷薄な笑みを
浮かべながら睨め上げる。
「君の口が言わなくても、表情筋の動きが
全部語っているんです。さて次の質問だ。
君は犯人の名前は知っているのかな？」
浅井の視線が露骨に泳ぐ。
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未翔(プロフ) - あきさん» 読んで頂いてありがとうございます！ここから更に急展開ですのでお見逃し無く！！ (2021年5月25日 22時) (
レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - shioribaron0307さん» ありがとうございます！ (2021年5月25日 22時) (レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - うわぁ〜急展開！！ワクワクしますね。続きを楽しみにしてます。 (2021年5月25日 15時) (レス) id: de45e6159d (このIDを非表示/違反報告)
shioribaron0307(プロフ) - お話面白かったです。続き楽しみにしています！ (2021年5月22日 14時) (レス) id: 7628593eb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未翔
| 作成日時：2021年5月15日 12時
