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櫻井が物思いにふけっていると、
いつの間にか画面には次のニュースが
映し出されていた。
キャスターがマイクを片手に警察署の前に
立っている。
『５ヶ月前に都内の公園で
バラバラになった男性の遺体の一部が
見つかり、先週、遺体の身元が
都内に住み、去年12月から行方不明に
なっていた20代の男性であることが
確認された件で、捜査本部では……』
「ああ。あの事件、被害者の身元
判明してたんだ」
雅紀が興味なげに呟くのを聞きながら、
櫻井は表情をこわばらせる。
５ヶ月前、足立区の公園に散歩に
きていた犬が突然地面を掘り返しはじめ、
人間の腕を掘り出した。
住民の憩いの場でバラバラ遺体が
発見されたという事で世間は
大騒ぎとなり、連日そのニュースが
ワイドショーをにぎわせた。
そして、そのおかげで世間からの注目が
逸れたニュースもあった。
「どうしたの、翔ちゃん。怖い顔して」
雅紀が顔を覗き込んでくる。
「いえ、……何でもないです」
硬い声で答える櫻井の顔を、雅紀は
「んー？」と凝視してきた。
「ああ、もしかして翔ちゃん、
医療事故のこと思い出してたの？
たしか、このバラバラ事件の
せいで、報道されなくなったんだよね」
図星をつかれ、櫻井は唇を
への字にゆがめる。
「……人の考えていること当てるなんて
二宮さんみたいですね」
「やめてよ、あんな妖怪と一緒にする
なんて。こんなのは、単なる勘だから。
にのちゃんのものとは全然別物」
雅紀は露骨に顔をしかめる。
「……勘ですか」
「なんか文句でもある？」
すっと細めた雅紀の目の奥に危険な光が
灯るのを見て、櫻井は細かく
首を左右に振った。
雅紀は櫻井を睨んだまま、
形のいい鼻を軽く鳴らす。
櫻井は上目遣いに雅紀を見ながら、
おずおずと口を開いた。
「あの、……俺みたいな奴が、
本当にここで働かせてもらっても
いいんでしょうか？」
「ん？なに言ってるの？」
雅紀は小首を傾げる。
「いえ、このクリニックの先生達って
みんな超一流なのに。そんな中に
俺みたいな医者がいていいのかと思って」
この3週間で、
10回以上手術助手を務めた。
その中には大野の手術だけでなく、
雅紀が行った婦人科の手術も
含まれていた。
大野ほどの速度ではないものの、
雅紀の手術は正確で、柔らかい手先の
動きは優雅ささえ感じるものだった。
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未翔(プロフ) - あきさん» 読んで頂いてありがとうございます！ここから更に急展開ですのでお見逃し無く！！ (2021年5月25日 22時) (
レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - shioribaron0307さん» ありがとうございます！ (2021年5月25日 22時) (レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - うわぁ〜急展開！！ワクワクしますね。続きを楽しみにしてます。 (2021年5月25日 15時) (レス) id: de45e6159d (このIDを非表示/違反報告)
shioribaron0307(プロフ) - お話面白かったです。続き楽しみにしています！ (2021年5月22日 14時) (レス) id: 7628593eb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未翔
| 作成日時：2021年5月15日 12時
