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そこに勤務するスタッフ達は、
全員が絶対に外に情報を漏らさないように
特別な審査を受けた者達で、
大野クリニックはかなりの金額を
支払うことでそこに患者を入院させる
契約を結んでいた。
話によると、大野クリニック以外でも
似たようなビジネスをしている医師が
いるらしく、12床ある病室は常に満床に
近い状態だということだ。
手術の予定が入っていない日、
櫻井、大野、相葉の
大野クリニック外科グループの３人は、
午前10時頃からその秘密病棟で
回診を行っていた。
「あの病院の近くにも、カフェぐらい
あるでしょ。仕事前の一息つくなら、
そっちの方がいいんじゃない？」
雅紀はからかうように言う。
「雅紀さんだって、いつもこの喫茶店に
いるじゃないですか」
手術や回診などの仕事がない時にも、
雅紀はよくこの喫茶店でコーヒーを
飲みながら本を読んでいる。
「あれ、反抗的な態度」
雅紀はおどけて言うと、コーヒーカップに
無駄に色っぽく口をつけた。
雅紀から大人の女性のような色気を感じる。
「だって、ここのコーヒー飲まないと、
一日が始まらないんだもん」
マスターが無言で櫻井の前に
コーヒーカップを置いた。
櫻井は「ありがとうございます」と
礼を言うと、一口コーヒーをすする。
口の中に広がる苦みと酸味の絶妙な
バランスに、思わずため息が漏れてしまう。
この店のマスターが淹れるブレンドは、
チェーン店のカフェが出すコーヒーとは
比べものにならないほど
深い味を醸し出していた。
「僕も同じですよ。
このコーヒーが気に入ったんです」
「まあ、そういうことにしておいてあげても
いいけどね。それなら、奈美ちゃんの後ろ姿
目で追うのやめた方がいいよ。
あれじゃバレバレだから」
雅紀はぽんぽんと櫻井の頭をたたく。
櫻井は無言でコーヒーをすすり続けた。
『ついに来月にせまった条約の締結について
榊原大臣は会見で……』
耳に飛び込んできた名前に、櫻井は視線を
テレビに向ける。
液晶ディスプレイの中では、榊原外務大臣が
凛とした態度で記者の質問に答えていた。
「榊原さん、元気そうだね」
雅紀の言葉に、櫻井は「そうですね」と
微笑む。
櫻井がはじめてここに来た日に手術を受けた
榊原は、わずか１週間ほどで退院していった。
術後の経過は順調で、手術後２週間ほどで
仕事を再開できたらしい。
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未翔(プロフ) - あきさん» 読んで頂いてありがとうございます！ここから更に急展開ですのでお見逃し無く！！ (2021年5月25日 22時) (
レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - shioribaron0307さん» ありがとうございます！ (2021年5月25日 22時) (レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - うわぁ〜急展開！！ワクワクしますね。続きを楽しみにしてます。 (2021年5月25日 15時) (レス) id: de45e6159d (このIDを非表示/違反報告)
shioribaron0307(プロフ) - お話面白かったです。続き楽しみにしています！ (2021年5月22日 14時) (レス) id: 7628593eb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未翔
| 作成日時：2021年5月15日 12時
