__ ページ10
・
久しぶりの外食に俺もニノも酔いが回るのに
そう時間は掛からなかった。
ビールから焼酎へとすっかりギアチェンジした彼はいつになく饒舌に話す。
「潤くんと芝居出来るの楽しみなんだよね。カメラ回ってない所でもキメキメなのよ。話も合いそうだし弄りがいもある」
「…弄りがいって」
「それも芝居には大切なのよ」
「ふーん」
芝居。
この言葉に何度、嫉妬しただろうか。
俺たちにとって話が尽きるという事は、
今までに一度だってない。
でも、芝居という言葉に俺が打ちひしがれる事は数え切れないほど経験している。
出版社に勤めているとはいえ、俺は芝居に関してはド素人。対してニノは誰よりも芝居が上手いし、誰よりも芝居を愛している。
だからこそ、
俺が芝居に勝つことはないのだ。
「翔ちゃん」
「ん？」
「今度、現場に遊びに来てよ。大野さんも連れて来たら良い理由になるでしょ？」
「は？」
飛んでもない理由に口に含んでいたビールを思わず飲み込んだ。けれど、そんな理由もニノらしい。そして、俺もまた芝居しているニノが見たい。
俺が何をしたって芝居には敵わないのだから一度ぐらいそいつを睨んで、って俺は何考えてんだ。
「だいたい芝居をどうやって睨むんだよ」
「翔ちゃん？どしたの？芝居を睨むって？」
怪訝そうな顔を浮かべるニノに
慌てて首を振る。
心の声が漏れるとは俺の理性はどうなってんだ。嫉妬する相手が芝居だなんて。
ま、こんなの嫉妬でもないか。
「ニノ、飲み過ぎじゃない？大丈夫？」
「翔ちゃんもだいぶ酔ってんじゃん」
珍しいと言いたげな彼と並んで部屋を出る。
会計は先に済ましてるから、
ゆっくりと店を出る。
大の男が2人揃って夜道をくっつきながら歩いてる、なんて稀に見る光景かもなぁ。
それにその内の1人はあの二宮和也だなんて、世間の人が知ったらビックリするなんてものでは済まないのだろう。
そんなちょっとした幸せに笑みがこぼれる。
横に居る温もりを抱き締めるように、
もう少し彼に近付く。
近付いた拍子に彼の横顔を盗み見る。
帽子やマスクをしているとはいえ、
彼には隠し切れないオーラがある。
そんなオーラも彼にとってはスポットライトのようなものなのかもしれない。
俺にとっては眩しくて眩しくて、
目を開けることすら難しいのに。
「翔ちゃんの視線、
独り占め出来るって良いわ」
俺の日常はそんな眩しいことばっかり。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 327人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
未翔(プロフ) - 夜月さん» ありがとうございます！待って頂けていたというだけで嬉しいです。 (2021年4月17日 9時) (
レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
夜月(プロフ) - 更新ありがとうございます。 待ってました！ これからも頑張ってください！ (2021年4月16日 18時) (レス) id: f96e31a6df (このIDを非表示/違反報告)
夜月(プロフ) - コメント返しありがとうございます！ 全然ゆっくりで大丈夫です。 その分読み返したりしてます！ 日々の疲れを忘れることが出来感謝です。応援してます！ (2021年3月28日 22時) (レス) id: 3292546019 (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - 夜月さん» コメントありがとうございます！更新のペースはゆっくりになるかもしれませんがこれからも続けていく予定ですので、これからも宜しくお願いします！ (2021年3月28日 17時) (レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
夜月(プロフ) - 更新ありがとうございます！いつも楽しく見てました！少しづつでいいのでこれからも更新楽しみにしてます！頑張ってください！！ (2021年3月28日 15時) (レス) id: 3292546019 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：未翔
| 作成日時：2020年8月2日 12時
