陸王 2

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裕人に抜かされた直は悔しそうな、辛そうな顔をしていた


その後どんどん直と裕人の差は広がり、裕人は3位で平瀬さんにタスキを渡した


｢平瀬さん行けー！｣


裕人からタスキを受け取り、ガッツポーズをしながら走る平瀬さんにテレビ越しに声援を送る


その後直はフラフラになりながら4位で三岡選手にタスキを渡した


倒れ込んだ直は悔しそうに地面を叩いていた


｢Aちゃん、ゴール地点に行こう｣


水木さんに声をかけられハッとした私は直から視線を移す


｢はい！｣


その後私たちは控え室で合流をして、監督とトレーナーの元へ向かう


先程まで先輩方に褒められていた裕人が一人になった時に、近づく


｢ナイスラン、裕人｣


｢ありがとう。この靴のおかげだよ｣


｢それだけじゃないよ｣


｢え？｣


｢陸王と、裕人の努力のおかげでしょ｣


そう言うと裕人は恥ずかしそうに、そして嬉しそうに笑った


｢おう！｣


そして私たちが関係者控え室に着いた時には平瀬さんは芝浦自動車を抜いて2位になっていた


｢平瀬さん！いけ！｣


｢平瀬さんファイトー！｣


｢きつそうっすね｣


｢当たり前だろうが！あんなオーバーペースでばてるに決まってるだろうが！｣


その言葉のあとに監督の鼻をすする音が聞こえ、こちらからでは背中しか見えない監督が泣いていることに気づく


そんな監督の背中を見ていてると、私も目に涙が浮かぶ


｢ったく！…よし行くぞ！｣


そう言って平瀬さんを迎えるために外へ向かう監督のあとに続く


｢お前ら声出せ。しっかり応援せんかい！あいつは今必死で走ってるんだ！平瀬ー！｣


監督の言葉を聞いていると私の目から涙がこぼれ落ちた


｢平瀬さん！ラスト来ーい！｣


｢平瀬さん！｣


裕人たちが応援しているのを聞いて私も声を出す


｢平瀬さん！頑張れ！頑張れ…｣


泣いているせいかうまく声が出ないが、平瀬さんに届くように声を出し続ける


すると1位のジャパニクスがゴールをして、ゴールテープ付近が空いたのでそちらに向かう


｢平瀬さん！頑張れ！｣


｢平瀬！ラスト来い！｣


するといつの間にか平瀬コールが始まり、それに合わせて私たちは肩を組む


そして泣きながらゴールした平瀬さんは裕人の胸に飛び込んだ


私たちはその後しばらく泣いていた

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