2-2 ページ19
その後監督に強制終了させられた裕人はクールダウンをして部室に戻って行った
それを見送って私もロッカーに向かおうとすると総務部の人に声をかけられた
「Aさん」
「はい」
「これ、茂木さん宛に届いてた。渡してもらってもいいかな」
「わかりました。お預かりします」
手紙をひっくり返すとこはぜ屋と書いてあり、この前監督が渡されていた紙袋を思い出す
ノックをして「失礼しまーす」と言いながら部室を覗き込む
裕人がいるのを確認してなかに入る
「裕人、これ。裕人宛だって」
そう言って手紙を裕人の前に出す
「Aちゃん普通に部室入ってくるようになったね」
そう言いながら平瀬さんは手紙をのぞき込む
「…お?ファンレターか。いいなぁ、スター選手は。俺も欲しいな。かわいい女の子から」
裕人は手紙に興味を示すことなくベンチに座って靴を脱ごうとする
「これ男の字だな」
平瀬さんのその言葉に反応して、私の手から手紙を受け取った裕人は送り主を確認する
「こはぜ屋って、あぁ。この前の足袋屋のか」
裕人の隣に座って手紙をのぞき込むとミッドフット着地を実現する、怪我のない走りを約束する旨が書いてあった
裕人の視線の先を辿ると、この前捨てられたはずの紙袋がロッカー入っていた
それを手に取り、箱を開ける
そこにはソールの薄いシューズが入っていた
裕人がシューズを折りたたんだりしているところを見た私の「うわぁ、柔らかい」という言葉に反応して平瀬さんが裕人の手からシューズを取る
「なんだこのシューズ。うっすいなこのソール。こんなんで走れんのかよ。かえって足痛めんじゃないか?」
「足袋屋が作ったランニングシューズ。いや、勘弁して欲しいっすね」
「なんで?履いてみないとわからないじゃん。明日の練習で履いてみなよ」
「履かないよ」
「明日村野さんに見てもらってさ」
「履かない」
そう言って裕人は私を立たせ、肩を押して出口まで連れていく
「履くくらいいいじゃん!せっかく裕人のために作ってくれんだから!」
「着替えるから出てってください」
「ちょっと!」
「お前も着替えてはやく帰れよ、お疲れ」
そう言って裕人は部室に戻って行った
「まぁどの道、アトランティスとの契約がある以上、お前がこれを履いて走ることはありえないけどな」
平瀬さんの声が微かに聞こえてきて壁を軽く蹴る
「お疲れ様です」
「あっお疲れ様でーす」
104人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
れな(プロフ) - えさん» クールのクの字もない毛塚ですが、今後ともよろしくお願いします!(笑)私も気になります毛塚と付き合うまでの話…(笑)私にかけるか不安ですが考えてみます! (2017年12月11日 18時) (レス) id: 607cd69f3f (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 湖泊さん» 最高の作品とのお言葉、とても嬉しいです(; ;)これからもよろしくお願いします! (2017年12月11日 18時) (レス) id: 607cd69f3f (このIDを非表示/違反報告)
え - れなさん» 思いつきました!回想みたいなかんじで主人公と毛塚が付き合うまでのお話をぜひ読みたいです。ご検討お願いします。 (2017年12月9日 21時) (レス) id: 132dc564f2 (このIDを非表示/違反報告)
え - れなさん» 弱気な毛塚すごいよかったです!原作でも詳しくは描かれてないとのことでしたので難しいかと思いますがぜひまだまだ見たい気持ちでいっぱいです。ありがとうございます!厚かましくリクエストなんてすみません。また思いつきましたら書かせていただきます。 (2017年12月9日 9時) (レス) id: 132dc564f2 (このIDを非表示/違反報告)
湖泊(プロフ) - れなさん» 最高の作品です!いえいえ! (2017年12月9日 1時) (レス) id: 7c2244ffc6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ひな | 作成日時:2017年11月8日 22時