8.チケット ページ9
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「千秋楽のチケット取れたよ」
『あっ、ありがとう』
なぜいきなりこんなことになったのか。
事はほんの些細な言葉から始まった。
───────
『…ねぇ、お母さん。MANKAIカンパニーって、知ってる?』
数分前、私は母に劇団のことについて尋ねた。
母は色んなことに詳しいが、お芝居の話は聞いたことがない。
さすがに知らないだろうと変なタカをくくって返答を待つ。
「久しぶりに聞いたわね、その名前」
知っていた。
まぁ確かに、私たちの住んでいる家から最寄りの駅の近くにはたくさん劇団があるからそりゃあ知ってるだろう。
それに物知りの母だ。
知らないわけがない。
「あの劇団は大好きだった。春、夏、秋、冬。どの組もすごく好きね」
春組は王道で…と一人でベラベラと話し出す。
皿を洗っている手が止まっているほどの熱弁ぶりだ。
「…あぁ、でも秋組が1番よ。アクションとか殺陣モノが多かったかしら。4組の中でもガタイのいい人ばかりいたし…」
『あき、ぐみ…』
ふとチラシを思い出す。
【MANKAIカンパニー 秋組旗揚げ公演 『なんて素敵にピカレスク』】
兵頭君は秋組だったのだ。
『お母さん、来月の第一日曜日にこれがあるらしいんだけど…』
「あらまぁ!秋組じゃない!バディものかしら。この男の子2人、まだ若いわね…」
『うん、そっちの金髪の人は分からないけど、もう1人の黒い人は兵頭君っていう同じクラスの男の子』
「へぇ〜、驚かされた。すごいわねA!今度その子によろしく伝えてて」
すっかり兵頭君のことを気に入ったようだ。
すると母はパソコンを取り出しキーボードをうち始めた。
何分かたった頃、タンッとEnterキーをうったであろう音が聞こえた。
パソコンの画面をのぞき込む。
「サイト、新しくなってたわ。いいデザインね」
『何したの?』
「千秋楽のチケット取れたよ」
『あっ、ありがとう』
考える間もなく感謝した私。
あまりにも当たり前のようにチケットを購入するものだから、驚く暇もなかった。
母はもう行きたい行きたいと、目を輝かせていた。
そんなにすごいのか、MANKAIカンパニーって。
『…早く、来月にならないかな』
「ふふ、あっという間よ」
いつの間にか私もお芝居に惹かれていった。
だが、一番は恐らくお芝居をしている兵頭君をこの目で観たいだけかもしれない。
288人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
抹茶ぱふぇ(プロフ) - りんりんさん» 十座の横顔って絶対イケメンだと思うんですよ…。何度夢見たことか…!更新のペースは遅くなると思いますが、気長に待っていてください。 (2017年10月18日 23時) (レス) id: cd03e2e498 (このIDを非表示/違反報告)
りんりん(プロフ) - 真剣に台本を読む十座くんなんて、考えただけでかっこよ過ぎてしにそうです!絶対眺めちゃいますよね!更新頑張ってください、応援してます。 (2017年10月16日 1時) (レス) id: d049c82bd5 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶ぱふぇ(プロフ) - 実渕 魔理沙さん» かなり捏造してかわいい十座になってますね(笑)今後はクールな十座も出していくつもりなので、楽しみに待っていただければなと…( ˇωˇ ) (2017年10月15日 12時) (レス) id: cd03e2e498 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶ぱふぇ(プロフ) - 黒咲@紗奈。さん» 大好きコメントありがとうございます!マイペース更新になると思いますが、気長に待っていただけると嬉しいです(^-^) (2017年10月15日 12時) (レス) id: cd03e2e498 (このIDを非表示/違反報告)
実渕 魔理沙(プロフ) - 十ちゃんかわいい、、、!更新頑張ってください(´∇`) (2017年10月15日 2時) (レス) id: 78269ba3b9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:抹茶ぱふぇ | 作成日時:2017年10月12日 20時