隣の兵頭君

７.ジブン？ ページ8

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「…あ？兵頭、誰だそいつ」



後ろからアイツの声が聞こえる。
Aはビビったのか、逃げるように帰っていった。
もっと芝居について話したかったんだが。
考え始めたらだんだんと苛立ってきたから、アイツの方に首だけを回し睨みをきかせた。



兵頭「あ？別に誰だっていいだろーが」

摂津「はぁ？何メンチきってんだテメェ」



これ以上はいけねぇ。
もう駅前で喧嘩沙汰を起こしたくはない。
存在するだけでビビられるからな。
本当、世の中って理不尽だ。

オレは突っかかってきた摂津を軽くあしらい、寮へと急いだ。



摂津「…彼女、とか」



ぴたり。

足が止まる。
別にAのことはなんとも思ってないが、つい体が反応してしまった
ヤベぇ。
気づくなよ摂津……



摂津「はっ、図星ちゃんか？」



だよな。
アイツがこんなわかりやすい動きを見逃すわけがねぇ。
ましてやオレだからな。
当分うるさくなるに違いない。



摂津「とうとう兵頭にも彼女、か。…っく、は」

兵頭「…るせェ笑ってんじゃねぇぞ。別に彼女でもなんでもねェよ」

摂津「いやいやいや、おっ前自分で自分の顔みてみろよ！なんだあの完全に緩みきった顔は！マジでＯ高最強の顔かよ！っははは！」



誰かコイツの口を縫ってくれねぇか。
そろそろ頭の血管がもたねぇ。



摂津「じゃあ何なんだよ」

兵頭「……、…ち」

摂津「あ？何だよもう少しデケェ声出せ」

兵頭「ﾁｯ……。…と、友達、だ」



摂津の目が点になっている。
と思ったらまた笑い出した。
コイツ笑うことしかできねぇのか？



摂津「あっははは！マジでサイコー。その顔、全然説得力ねーぞ？くっ、…あはは！」

兵頭「は、何言って…」

摂津「ん。見ろよ」



そう言って摂津は鏡をオレの前に出した。
そこには頬がほんのり赤く色づいたオレが映っていた。
急いで鏡から目をそらす。



兵頭「……摂津テメェ、何した」

摂津「なにもしてねェよ」

兵頭「…正直に言えやコラ」

摂津「だーかーら何にもしてねェって！神に誓って！」



摂津の野郎、マジだ。
じゃあ今さっきのオレは何なんだ。

調子、狂うな。

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