22話 ページ25
『はぁ……いきなりそんな事聞いてくるなんて』
ジョゼフさんの部屋から自分の部屋に戻る途中、私はさっきの出来事を思い出していた。
”君の過去に興味があるから”……
話せるものでは無いと、後何度言えば諦めるかな…
はぁとついた溜息の音が、廊下に響き渡った。
「…どうしたんですか、溜息ついて…」
『うわわっ！！！』
突如背後から降ってきた声にびっくりして、大きな声を出してしまう。
声の方向を振り返ると、そこにはイソップくんが立っていた。
手にはいつもの仕事道具を持っている。
『なんだ…イソップくんか。何でもないよ』
「今日は、いつもと違う衣装を着ているんですね」
それに髪も。と言って全身をじっと見られる。
『うん。ジョゼフさんにやってもらったの！』
ジョゼフさん、という単語にぴくりと反応するイソップくん。
眉間に皺がより、手を握り締めている。
ジョゼフさんと喧嘩でもしたのかな、なんて呑気に考える私を他所に、彼の表情はどんどん険しくなっていく。
このままでは不味い。非常に
『あー…っと、そ、それ！何時も持ってるけど、イソップくんは仕事柄お化粧は得意な、…んだよね？』
とにかく何か話そうと、私は彼が持っている仕事道具を指さして話題を振った。
「……」
少しの沈黙が続く。
流石に、わざとらしかったかな…という不安が襲ってくる。
恐る恐る彼の表情を伺うと、先程までの険しい顔は嘘だったかのように、いつも通りの顔に戻っていた。
「えぇまぁ……あの、良ければなんですけど…Aさんに化粧、してみてもいいですか…？」
最後の方につれて、小さくなる声。
イソップくんの、化粧……
彼がゲーム中に作る身代わり人形は本当に良く出来ている、と前に誰かが言っていたから化粧の腕は確かなはず。
そんな彼からのお誘いを断る事なんて私の乙女心が許さなかった。
『いいの？喜んで！というか、お願いします！』
そう返事をすると、ぱあっとイソップくんの周りが明るくなったように見えた
何だか可愛いな、と思ったけど言葉にするのは止めておく。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 403人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「第五人格」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
梨々華(プロフ) - ナ子さん» コメントありがとうございます！嬉しいお言葉(無事昇天) (2019年3月28日 23時) (
レス) id: 7e65e4ae7c (このIDを非表示/違反報告)
ナ子 - え、なに、展開がすごく気になるんですけど…。（死にかけ） (2019年3月27日 9時) (レス) id: 848e96a0c3 (このIDを非表示/違反報告)
梨々華(プロフ) - 猫夜桜((シラキさん» ありがたきお言葉ありがとうございまぁぁぁぁぁぁす！！！！これからの展開にご期待くださァァ(うるさい) (2019年3月14日 19時) (レス) id: 7e65e4ae7c (このIDを非表示/違反報告)
猫夜桜((シラキ(プロフ) - うおあぁああ！？展開がァアァ！Fooooooo！！！この小説すっごい好きです！これからも頑張ってください！！ (2019年3月14日 3時) (レス) id: 4588ab3ba5 (このIDを非表示/違反報告)
梨々華(プロフ) - カレンダー(2017/10)やばさん» おぁぁぁぁ...嬉しいお言葉ありがとうございます！これからもシリアス投下して行きたいと思います笑 (2019年3月9日 13時) (レス) id: 7e65e4ae7c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：梨々華 | 作成日時：2019年2月16日 16時
