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Aside
先生にあとすこし、そう言われてから2時間が経った
最初は受け入れられなくて、泣いたり、苛々したり、
でもよくよく考えてみれば、
少し前からよく熱を出すようになったし、体調がいい、とは言い切れなかった
A 「ゆいな...さん...中庭、いきたい...」
ゆいな 「うん、行こっか、」
何となく、ゆいなさんの車椅子を押すスピードも、ゆっくりな気がした
中庭では、いつも通り、子供たちが追いかけっこをして、
おばあちゃんやおじいちゃんたちがおしゃべりをして、
ほわほわした、暖かい空気が漂っていた。
最近は、ずっと寝てしまっていたから、マリーゴールドの水やりに来れなかった
マリーゴールドの方を見てみると、
今にも枯れそうな花が、いつもの場所に、小さく咲いていた。
A 「最近水やり来なかったから、」
ゆいな 「また来れば綺麗に咲くよ、」
そんなゆいなさんの言葉に上書きするように、
"なんか、私みたいだね、"
そう呟くと、ゆいなさんは、悲しそうに顔をしかめた
あまり動けない私の代わりに、ゆいなさんが水やりをしてくれた。
水の反射でキラキラとする花を少し眺めていると、
突然風が強く吹いた。
それと同時に、中庭の桜の木がざわざわと揺らいだ
嫌な予感がした、
何故か、大事な人が、
A 「ゆいなさん、屋上いきたい」
この病院には、中庭の他に、屋上がある。
冬や、気温の低い日は、寒くなるので許可がない限り入れない事になっている
ゆいな 「うーん、風が強いしねー...」
A 「お願い...」
ゆいな 「じゃあ、皆には秘密ね、」
そう言ってエレベーターに乗ると、一番上にある、
屋上
のボタンを押した。
ドアを開けると、やっぱり強く風が吹いていた。
ゆいなさんが、自分の来ていたカーディガンを貸してくれた。
広い屋上を一周して帰ろうか、
そう話して車椅子を進める。
半分ほど来たところで、フェンスの前に男の子が立っているのを見つけた。
A 「危ないですよ!落ちちゃいます!」
私が声をかけ、ゆっくり振り返ったのは、
目の下にクマができてやつれたころんくんだった。
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ゆぅり??(プロフ) - やばい、めっちゃ号泣だった😭😭この作品大好きです。、、、 (2022年5月6日 0時) (レス) @page19 id: 43029027f4 (このIDを非表示/違反報告)
のあ - 号泣でした…ころちゃん大好きだから尚更だn(( 桜の木の下で…見た瞬間女の勘が…((? 面白かったです!ありゃとぉぉぉ!((ありがとうございましたっ! (2021年9月30日 18時) (レス) @page19 id: 57460c1f91 (このIDを非表示/違反報告)
天音 - 次のお話、この二人の来世編見てみたい…。って思うほど大好きです!!二回もコメントごめんなさい!! (2021年9月28日 17時) (レス) id: 6f6156a767 (このIDを非表示/違反報告)
天音 - うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!完結しちゃったぁ…。久しぶり泣いたなぁ…。「桜の木の下で」って言葉見たときすっっっっっごく鳥肌立った…。次のお話も楽しみにしてます! (2021年9月28日 17時) (レス) @page19 id: 6f6156a767 (このIDを非表示/違反報告)
いちごchan - 読んだよ!!すごい!尊敬です〜!大好きだお (2021年9月28日 16時) (レス) @page19 id: a688d76ce4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りぃむ | 作成日時:2021年9月19日 17時