95日目 ページ15
土方「・・・ハナから俺達抱き込むためにアイツを利用するつもりだったのかよ」
蔵場「愛していましたよ。商人は利を生むものを愛でるものです」
蔵場「ただし、道具としてですが」
屑野郎が、と口に出てしまったのは仕方ないだろう。
土方「外道とはいわねェよ。俺も似たようなもんだ。ひでー事腐る程やってきた。挙句、死にかけてる時にその旦那叩き斬ろうってんだ。ひでー話だ」
『・・・気づいてたのに何もしなかった私も同罪ですね』
蔵場「同じ穴のムジナという奴ですかな。鬼の副長とはよく言ったものです。君もこんな時に恋人を放っておくのですね。あなた達とは気が合いそうだ」
『はは、商人と気が合うなんて虫唾が走る』
土方「そんな大層なもんじゃねーよ。俺ァただ・・・
惚れた女にゃ幸せになってほしいだけだ」
ああ、この言葉をミツバ姉さんに聞かせてやりたかった。きっと知っていたのだとしても直接聞かせてあげたかったな。
土方「こんな所で刀振り回してる俺にゃ無理な話だが、どっかで普通の野郎と所帯もって普通にガキ産んで普通に生きてほしいだけだ。ただ、そんだけだ」
蔵場「なるほど。やはりお侍様の考えることは私達下郎にははかりかねまするな。
君も遺言を残しては?」
自分が負けるなんて微塵も思ってないような蔵場に笑ってしまいそうになる。遺言じゃないけど、コイツに言う言葉なら一つ。
『あんないい女を道具としてしか見れないなら、商人なんて辞めちまえ。クソ野郎』
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作者名:涙輝 | 作成日時:2023年3月20日 16時