玖 ページ10
人の子が、妖の住む山にいるらしい。
それも鬼の嫁らしいぞ。
そんな噂を聞いたのは、旦那様の友人である緑谷出久というの妖から教えてもらった。ちなみにここに来て最初に挨拶をした妖だ。
｢あれ？今日は轟くんはいないの？｣
『さき程用があると出られました。』
｢そっか、じゃあ入れ違いだね。｣
緑谷出久様、この方は人と妖の半妖らしい。
もじゃもじゃとした癖の強い髪、ソバカスのある肌、旦那様が人目奥ほど強い？らしいけどそうは見えないのが、本音だ。
｢あ、そうだ。轟くんからの贈り物はもう貰った？｣
『え？贈り物、ですか？』
あれ？と首を傾げる緑谷出久殿。
しばらくの沈黙の後
｢わあぁ！こういうのは秘密にするんだよね！
てっきり渡してるのかと･･･ご、ごめんね、｣
『頭を開けてくださいっ、そんな、大丈夫ですよ！』
申し訳なさで押しつぶされそうな緑谷様。
なんとも言えない雰囲気に
違う話を頭の中で探し出す。
『あ、旦那様は幼少時からあの様な方だったのですか？』
私の質問に緑谷様はうーん、と目で空を見る。
｢どうだろう、僕が出会ったのは90年前だからーー｣
『90？』
｢うん。あ、今は僕達は人で言えば二十くらいだけど、生きた年数は126年。僕達が出会ったのは90年、丁度前なんだよ。｣
｢知らなかった？｣と首を傾げる。
知るも何も、二十くらいだとは思っていた。人と同じだと、それなのに126年という数を出された。
それはつまり、あの鬼は私といても私を見届けた後も生きるという事だ。この家で、一人ぼっちになってしまう。
『前に、少し聞きました。』
嘘を、付いた。
それを考えたくない。それを思いたくない。
私の人生なんて鬼から、妖からすればちっぽだなんて。
緑谷様のお話が耳に残らず、抜けるばかり。
｢そろそろお帰りの時間だね。次は飯田くんも連れてくるね。｣
『ぁ･･･はい。お待ちしております。』
縁側のお茶を片し、台所へと行く。
私はあの鬼に好意がある訳では無い。
それなのに、それなのになぜ、私は先に死ぬことではなくてたった1人にしてしまう、残してしまうことを考える？
自分がどうしたいのか、何をしたいのか分からない。
｢･･･今そこで緑谷と･･･A？｣
『！、あ、ごめんなさい。考え事をして、いました｡』
旦那様の顔を見ることもせず、茶碗を洗った。
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鈴音(プロフ) - 本当に泣きました。語彙力があってうらやましい限りです。これからも頑張ってください。これからも読みに来ます。 (2018年8月22日 17時) (
レス) id: ec91683ef5 (このIDを非表示/違反報告)
秋雨秦(プロフ) - 苺デラックスさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて良かったです。爆豪の話口調や性格は探り探りなので、良かったです。最後までありがとうございます。 (2018年3月30日 6時) (レス) id: 83d660fda4 (このIDを非表示/違反報告)
秋雨秦(プロフ) - うさたまさん» 返信遅くなってごめんなさい！コメントありがとうございます。これかも作品共々よろしくお願いします。 (2018年3月30日 6時) (レス) id: 83d660fda4 (このIDを非表示/違反報告)
苺デラックス - お疲れ様でした。私はこれを読んで号泣してティッシュの箱を1箱空にしてしまいました笑本当に泣けます。勝己の幸せになれやと、全部捨てて俺といろよがなくポイントでした。素晴らしい小説だと思います！本当にお疲れ様でした！ (2018年3月30日 0時) (レス) id: e851a42e9b (このIDを非表示/違反報告)
うさたま(プロフ) - 心が浄化されましたありがとうございますこれからも頑張って下さい！！ (2018年3月25日 19時) (レス) id: 2ffea79b62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：秋雨秦 | 作成日時：2017年10月13日 20時
