弍拾捌 ページ29
あいつら、とは雄英のクラスメイトの人達のことだ。何だかんだ言いつつも爆豪さんは好きだなっと思う。
その中にはきっと、焦凍さんもいるだろう。
『よし！仕事行こ！』
うだうだ考えていては何も出来ない。
トートバッグを片手に家を出た。
私の務めている会社は小さくて、人数も少ない点はあるけどそれに比例する様に仕事は多い。結構有名らしいけど、私自身は気にならない。
それにフリースタイルでできる仕事に私は満足している。
｢幸華さん、この案ーー｣
フレンドリーで親しみやすい環境。
職場で特に仲の良い人がいる。見た目はギャルだが本当はお淑やかな美人さんは、私の隣にイスに乗ってくる。
『おはようございます。理音さん。』
｢おはようございます。今日は、何だかんだ元気そうですね。｣
『わかりますか？』
｢はい。とても、目が活き活きしてます。｣
鞄から新案である服のデザインの描かれたファイルを渡す。長い睫毛を不思議そうに揺らし、オレンジ色の髪を耳にかけて見る。それをじっと待つ。
少しして顔を上げた十色 理音さんは顔を上げる。
｢すごくっ、いいです！｣
『良かった。そう言ってもらえると安心。』
興奮気味に手を上下させる。
とても可愛らしい人だ。
｢次のミーティングで出しましょう！｣
ねっ！と頬を蒸気させる。その意気に推されたのもあって少しばかり体が反る。
そう。服の案は着物。女性と、男性の両方だ。
言わば私の理想を並べ、あの時にあったらとずるずると引きずるように書いたものだ。
その割には悪くない。と自負した。
｢カップルって案で出せば良いですね。｣
『！･･･うん。そう、思ってます。』
言葉が、変に詰まった。
カップル。正にそうだ。複雑な心境を隠しつつ、仕事をしよ、と促した。
臆病者になった自分がいた。
気づけば20時を回っている時計。
１日が短いと感じられるこの仕事は天職だとも言える。21時！それまでには終わらせようと決め、スパートをかける。
『･･･でっ、きたぁ！』
歓喜で大きく腕を広げても誰もいない空間には寂しく声が響くだけ。
仕事も今日のノルマを達成した。ご飯を食べて、お風呂に入る。一連のスケジュールを立てながら帰宅の準備をしていた。
ム゛ー、ム゛ー
マナーモードの携帯が忙しなく揺れる。
手に取る前に画面を見ると『爆豪さん』と書かれている。
珍しい。そう思いながら電話に出た。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 211人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鈴音(プロフ) - 本当に泣きました。語彙力があってうらやましい限りです。これからも頑張ってください。これからも読みに来ます。 (2018年8月22日 17時) (
レス) id: ec91683ef5 (このIDを非表示/違反報告)
秋雨秦(プロフ) - 苺デラックスさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて良かったです。爆豪の話口調や性格は探り探りなので、良かったです。最後までありがとうございます。 (2018年3月30日 6時) (レス) id: 83d660fda4 (このIDを非表示/違反報告)
秋雨秦(プロフ) - うさたまさん» 返信遅くなってごめんなさい！コメントありがとうございます。これかも作品共々よろしくお願いします。 (2018年3月30日 6時) (レス) id: 83d660fda4 (このIDを非表示/違反報告)
苺デラックス - お疲れ様でした。私はこれを読んで号泣してティッシュの箱を1箱空にしてしまいました笑本当に泣けます。勝己の幸せになれやと、全部捨てて俺といろよがなくポイントでした。素晴らしい小説だと思います！本当にお疲れ様でした！ (2018年3月30日 0時) (レス) id: e851a42e9b (このIDを非表示/違反報告)
うさたま(プロフ) - 心が浄化されましたありがとうございますこれからも頑張って下さい！！ (2018年3月25日 19時) (レス) id: 2ffea79b62 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：秋雨秦 | 作成日時：2017年10月13日 20時
