硫黄の匂いに溶け合って。5*sk ページ19
阿部ちゃんの計画は意外とざっくりしてて、大体何時ぐらいにここ、みたいな感じで気まぐれな俺でも回りやすかった。
パワースポットとして光泉寺に行き、遅咲き祈願ができるらしいのでふたりで手を合わせてきた。
それから西の河原通りで食べ歩きして、夕方には湯畑で足湯とライトアップを楽しんだ。
幻想的なライトの数々が水面に反射して、そこに足を入れるのはなんだか気持ちが踊る。
「…きれい、」
ぽつりと聞こえた声の方を向けば、うっとりライトアップを眺める阿部ちゃんの横顔。
足を動かすと揺れる水面が、阿部ちゃんの頬もゆらゆら照らす。
「……お前の方がきれいだよ」
「ふふ、言うと思った。アリガトゴザイマス」
「…冗談抜きでさ、」
「へ、」
白い湯気に包まれて、俺たち以外居ないんじゃないかって思えちゃう。
そっと頬を撫でると、なんとも言えない愛おしさが込み上げてきた。
「…すきだよ」
怒られないようにゆっくり、やさしく唇を重ねる。
阿部ちゃんは怒らなかったけど、少しだけ顔を赤くして瞳を揺らした。
「は〜！時間経つのって早すぎ！もう明日帰るのか〜」
「そうですね。運転よろしくお願いします」
楽しい時間はあっという間で、もう2度目の夕飯も温泉も済ませて布団にダイブしてる。
仕事も好きだから働きたくないとかは言わないけど、もう少し阿部ちゃんと温泉デートしたかったなぁ。
「居眠り運転するわけにいかないし、寝ますか〜！」
電気を消して布団に入ろうとしたら、きゅっと浴衣の裾を掴まれた。
阿部ちゃんは枕を抱きしめながら、真っ暗な部屋でもわかるぐらい不安そうな顔をしてる。
「…どした？今日も一緒に寝る？」
「……あの、佐久間さん……俺、言わなきゃって思ってたことがあって」
いつになく真剣な声色に、思わず向かい合って正座した。
阿部ちゃんはちいさく息を吸うと、しっかり俺の目を見つめてくる。
「…ほんとに楽しかったです。こんな思い出できたの初めてで…うまく言えないんですけど、一緒に来れたのが佐久間さんでほんとに良かった。…ありがとうございます」
「ど、どうしたの急に改まって…」
「……そういえば、いつも言ってもらってばかりだなって思ったんです。…俺もちゃんと言葉にしないと、伝わらないんじゃないかって」
ふわっと、照れくさそうな笑顔が暗闇に咲く。
「…俺も、すきです。……大介、さん」
あ…やばい、めっちゃキスしたい。
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谷森山(プロフ) - まりそうさん» コメントありがとうございます！あんまり楽しいお話ではない物が続いて申し訳ありません🥲今後のお話は楽しさだけでない物も多くなってきますので、御理解いただけたら幸いです。よろしくお願いいたします🥺 (4月17日 0時) (
レス) id: 0b5df8b91d (このIDを非表示/違反報告)
まりそう - いつも楽しく読ませていただいてます。とっても癒されてます。更新されるお話を楽しみにしています。3家族のぼのぼのとしたにぎやかな楽しいあたたかいお話しがみたいです。 (4月14日 16時) (レス) id: 3b49c20ebb (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - Blueい。さん» コメントありがとうございます！平仮名ばかりで読みづらかったと思いますが、感動していただけて嬉しい限りです🥺✨今後もよろしくお願いいたします🥰 (2月17日 6時) (レス) id: 0b5df8b91d (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - まりそうさん» コメントありがとうございます！お気に召していただけて何よりです🥰結婚式のお話は、構成上割と先になる予定です。お待たせして申し訳ありません💦御理解いただけますと幸いです🙏 (2月17日 6時) (レス) id: 0b5df8b91d (このIDを非表示/違反報告)
Blueい。(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます！蓮くんの逆サプライズが本当にいいお話すぎてコメントさせていただきました。小説を読んでて初めて泣きました…！笑 これからも応援してます！！ (2月16日 23時) (レス) @page28 id: 173db89271 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：谷森山
| 作成日時：2024年1月15日 10時
