胸ポケットには千日紅を【雪男】

18時、自分の足で！*fk ページ12

定期的にラウを見せている病院へ、照と一緒に行ってきた。


1歳も過ぎれば大体の赤ちゃんは自力で立って、早い子だと数歩は歩けるんだって。

ラウはまだ膝立ちやつかまり立ちがやっとできる程度だし、言葉も単語すらうまく話せない。

成長は個人差があるから、遅くても気にしすぎなくていいよとは言われてるけど。


「きゃ〜い！」


よく笑う天真爛漫な子。

のびのび育って欲しいとは思うけど、そろそろ立ったり歩いたりしてもいいんじゃないか。


「無理強いはよくないよ。自分で立ってくれるまで待とう？」

「うん…」










「気にしなくていいと思いますよ。康二も出会った頃は、2歳の割にぽてぽて走ってましたから」

「でも言葉はさ、そろそろ単語ぐらい話せてもいいよね？」

「話せてもおかしくないとは思いますけど。…ラウはマイペースだもんね〜」

「う〜？ぁい！」


ちっちゃい鼻をちょんと触れば、ラウはたちまち天使みたいに笑う。阿部ちゃんのことだいすきなんだよな、こいつ。

注文したオレンジジュースをひとくち飲み込んだ阿部ちゃんは、眉を下げて微笑んだ。


「…深澤さんはとにかく、たっぷり愛してあげればいいと思います。ラウは賢い子なので、自分が何をすべきか理解してますよ」

「そうかなぁ？…俺らの能天気が遺伝してなきゃいいんだけど」

「あぅ、ぶ〜」

「ぶーじゃないのよ、わかってんのか〜！」


きょろっとした目が阿部ちゃんを映すのがかわいくて、まるいおなかに額をぐりぐり擦り付けた。






「おかえり、お疲れ」

「ただいま。ラウもう寝ちゃった？抱っこしたいな」

「連れてくるから手洗い済ませといてよ」


夕方仕事から帰ってきた照。

夕飯を温めるより先に、布団に転がしてあるラウを回収しに向かった。



「ラウ〜、パパ帰っ……」

「まぅま！」


布団からよいしょと立ち上がったラウは、2歩ほどよちよち近付いてそのままぺたんと座り込む。

あまりに自然な流れだったのでスルーしかけたけど、口があんぐり。


「…ひ、ひかる！！」

「どうした！？」

「ラウが！ラウが歩いたんですけど！？」

「……ええ！？急すぎるって！カメラ！あ、ビデオ！？」

「ど、どうすんの！？ラウ、もっかいやってよ！アンコール！」

「アンコール！」

「う？ぃぁ〜！」


その日はもうできなかったけど、次の日ちゃんと見せてくれた。

預けてた阿部ちゃんの前でもやってあげたんだって。



やっぱうちの子、世界一天才でかわいいわ〜！

今年は東北東！1*dt→←だいじょうぶだもん！3*sk

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