花冠にはすずらんを【雪男】

マツバボタンの花束に。1*dt ページ7

「蓮、お昼ご飯もうできるよ」

「んん…」


眠そうにおもちゃを転がす蓮。

最近仕事が増えてきた翔太は日曜日だけど仕事で、家には俺と蓮だけ。

こないだもらった絵がうれしくて、リビングの壁に飾ってあるのを、蓮はちょっぴり恥ずかしそうに見て笑っていた。


「ぱぁぱ…」

「眠いの？お昼食べたらお買い物行くのに」


ぽかぽかあたたかい太陽が眠気を誘うのか、俺の足にへばりついて額を擦り付けてくる。

お買い物についてくるのがどうやら好きみたいなんだけど、今日はキッズカートに乗せて運ぶことになりそう。

とりあえずお昼は食べてもらわないとと思い、ちいさな体を抱き上げた。


「ほら、ママが帰ってくる前に全部済ませちゃいたいから」

「…まま？」

「そうだよ、今日はママのお誕生日だから」

「……おたんじょび！しょっぴ、おたんじょび？！」


いままで半目だったのが嘘みたいに、くりくりのお目目が見開かれる。

そして何故かポコスカ殴られる。なんで。痛い。


「ぱぱっ、いうのおしょい〜！」

「えっ、ご…ごめん？？」




11月5日は翔太の誕生日。



何か欲しいものはあるかと聞くと、毎年ふざけた顔で「俺への愛」って言う翔太。

今年はこの質問に、初めて真顔で「涼太と蓮が居ればなんでもいい」って返ってきた。

んん…思い出すだけで抱きしめたい。



祝ってもらう人数は多い方が良いだろうと、照と佐久間にも連絡を入れた。

照からはすぐに、ふっかとラウも一緒に行くと返信が来る。

佐久間は送信してから1時間後に、阿部と康二も連れていくと返ってきた。


…そういえばこないだ蓮が、康二から佐久間と阿部の元気がないって聞いたと言っていた。

佐久間家は1番複雑な関係なので、また何かしらの問題があったのかも。

それも同時に聞けたらいい。ふたりだけで抱え込んだって、解決しないこともあるんだから。




「…蓮、なにしてるの？」

「ぷぇぜんと！ままのおたんじょび、おいわいする！」

「…そっか。じゃあその前にケーキ買いに行こう」

「いく！」


手を繋いでケーキ屋さんに入ると、蓮はショーケースに並ぶケーキを見て目を輝かせた。

みんな来るなら大きいのがいいよな、照がチョコ好きだからチョコケーキにしよう。



「お名前プレートはどうされますか？」

「えっと…しょうた、」

「まま、おめっと！」

「…じゃあ、ママおめでとうでお願いします」

「かしこまりました。ふふ、可愛いですね」



「ふふ。でしょ？」

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