聖夜に駆ける19時。2*sk ページ38
「すみません、お待たせしました」
ぱたぱた駆け寄ってきた阿部ちゃん。
今日はリュック背負ってるから、買ったものはそこに入れたのか手ぶらだ。
俺もこっそり買ったプレゼントをトートバッグにぶち込んで、阿部ちゃんから見えないようしっかりボタンを留めた。
《蓮が康二を帰したがらない。夕飯食べさせてから帰すわ》
翔太から連絡があり、阿部ちゃんとデートだ!って言ったら苦笑いされた。せつない。
ショッピングモールは中も外もクリスマス1色で、至る所にツリーやトナカイ、サンタさんが飾ってある。
イルミネーションも見事なものだ。
空がオレンジから紺色に変わるぐらいの時間に、ショッピングモールを出た。
阿部ちゃんは点灯されたイルミネーションにちいさく息を吐き、少しだけ目を輝かせる。
「…まだ晩ご飯にははやいし、イルミネーション見に行く?俺、穴場知ってんだよね」
「えっ!行きたい!」
「よっしゃ行こ!ちょっと寒いけど」
「全然大丈夫です。ふふ、楽しみ」
車を走らせて30分ほど。
まるで人気のない丘の上に、ブランコと滑り台だけの公園がある。
誰が手入れしてるのかわからないけど滑り台は結構立派で、滑るとお尻が熱くなるぐらい長い。
その滑り台の上から見下ろす街のイルミネーションが、毎年すごい綺麗なんだよね。
ちなみにこの時期じゃなくても夜景は綺麗なんだけど、クリスマスシーズンは色とりどりの灯りが街を彩るから、輪をかけて綺麗。
3台分しかない駐車場(と言っても俺の車しか居ない)に車を置いて滑り台を登ると、煌めく街並みを見下ろした阿部ちゃんの瞳が光を映す。
「…わぁ……」
「きれいっしょ?」
「はい…すごい、きれい…」
「お前の方が綺麗だよ」
「え?ぁ、アリガトゴザイマス」
笑い合って眺める街並みはほんとに綺麗。
…お前の方が綺麗ってのも、半分本音なんだけどね。
でも阿部ちゃんの感動を奪うわけにもいかないから、うっとりと街を見下ろす横顔を見つめた。
「…佐久間さん、」
ふわっと視線が交わる。
阿部ちゃんはリュックに手を突っ込むと、やさしく微笑んだ。
「少し早いんですけど、タイミング今っぽいんでお渡ししておきます」
「…え、」
「メリークリスマス」
ちいさな赤い箱に、ピンクのリボン。
友達とプレゼント交換するって言って入った店のロゴ。
…あはは!まんまと騙された!
「…開けるのはクリスマス当日まで待つべき?」
「ふふ、ご自由に」
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谷森山(プロフ) - サクラサクさん» コメントありがとうございます!楽しんでいただけてるようで何よりです😇❤️現在続編を制作中ですので、少々お待ちいただけますと幸いです!よろしくお願いいたします🥺✨ (1月14日 22時) (レス) id: 0b5df8b91d (このIDを非表示/違反報告)
サクラサク(プロフ) - 初めまして 世界観に入り込んで泣きながら読みました。みんなが幸せになりますように!続きまってます。 (1月14日 1時) (レス) @page50 id: 8091bfce66 (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - ハルさん» コメントありがとうございます!子供たちの幸せを願っていただき嬉しいです( ;ᯅ; )❤️つらいことも家族で一緒に乗り越えて、逞しくやさしい子に育ってくれるといいですよね( ¨̮ )♡ (12月21日 10時) (レス) id: 0b5df8b91d (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 良かった、、、、もう入り込みすぎて 子供たちに何かあったら、と心臓痛くなる毎日です(泣) あぁどうか幸せになりますように (12月20日 20時) (レス) @page35 id: af4e907359 (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - にこさん» コメントありがとうございます!宮舘家を見守ってくださり嬉しいですˊᵕˋたっぷり愛情注いでくれると思いますので、今後もお付き合いくださると幸いです( ¨̮ )︎︎♡ (11月22日 10時) (レス) id: 0b5df8b91d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:谷森山 | 作成日時:2023年11月1日 1時