両手のちいさなぬくもりで。7*ab ページ36
「…っ、ままぁ！」
蓮くんは渡辺さんの顔を見ると、更に涙を溢れさせた。
そのまま宮舘さんの腕から降りて駆け寄ったんだけど、
ぺちん、
渡辺さんの左手が、蓮くんのまるいほっぺたを叩く。
「……ぇ、」
その場の空気が一瞬凍った気がした。
宮舘さんですらポカンとしていたけど、慌てて蓮くんの頬を撫で始めた。
「しょ、翔太！？いきなり何して、」
「なんで黙って居なくなるの！？みんなにどれだけ心配かけたか…っ、阿部にも迷惑かけて…！いい加減にしなさい！！」
「翔太！だからって殴ること…」
ない、と言おうとした宮舘さんの口が止まる。
だって蓮くんより康二より、その場の誰よりも渡辺さんが泣いてたから。
「…なんで、よりにもよってアイツについて行くの…っ？蓮、アイツから俺のこと守ってくれたじゃん…スプリングはわるいやつなんだって、わかってたんじゃないの…？」
「……しょっぴ…」
「こわかったよぉ……蓮が、俺のせいで怖い目に遭うの……っ。もし、2度と…っ、かえってこなかったら、どうしよぉって………ほんとに、こわかった…っ」
「…っ、ままぁ…」
膝から崩れ落ちた渡辺さんを、蓮くんは一生懸命抱きしめた。
渡辺さんはしっかりその体を抱きしめ返して、何度もこわかったよと呟く。
「……ごめんしゃい…っ、ごめんしゃぁあ〜！！」
街灯がまばらに点いた公園に、蓮くんの泣き声が響き渡る。
抱きしめ合う渡辺さんと蓮くんの後ろから、宮舘さんが力いっぱいふたりを抱きしめた。
宮舘さんの頬にも涙が伝っているのを、渡辺さんたちは気付いてないかもしれない。
康二も涙に釣られたようで、俺の服をぎゅっと握りながらポロポロ涙を零していた。
その髪をやさしく撫でていると、反対の手を佐久間さんに握られる。
「…俺も、心配したんだからね」
「………はい、すみません…」
なんだろう、怖い思いはしたけど…やっぱりここが1番安心する。
康二の体温のあたたかさも、佐久間さんの手のぬくもりも。
1歩引いたところで俺たちを見ていた岩本さんと深澤さんも、ちょっとだけ涙ぐみながらラウの頬をつついてた。
(………家族、)
実感していいのかな。いや、もう…実感せざるを得ない気がする。
こんなに安心できるひとたちを、家族と呼ばずに何と呼ぶんだろう。
(…あったかいなぁ……)
佐久間さんの体温を分けてもらうみたいに、ちょっとだけ手を握り返してみた。
聖夜に駆ける19時。1*sk→←両手のちいさなぬくもりで。6*ab
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谷森山(プロフ) - サクラサクさん» コメントありがとうございます！楽しんでいただけてるようで何よりです😇❤️現在続編を制作中ですので、少々お待ちいただけますと幸いです！よろしくお願いいたします🥺✨ (1月14日 22時) (
レス) id: 0b5df8b91d (このIDを非表示/違反報告)
サクラサク(プロフ) - 初めまして 世界観に入り込んで泣きながら読みました。みんなが幸せになりますように！続きまってます。 (1月14日 1時) (レス) @page50 id: 8091bfce66 (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - ハルさん» コメントありがとうございます！子供たちの幸せを願っていただき嬉しいです( ;ᯅ; )❤️つらいことも家族で一緒に乗り越えて、逞しくやさしい子に育ってくれるといいですよね( ¨̮ )♡ (12月21日 10時) (レス) id: 0b5df8b91d (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 良かった、、、、もう入り込みすぎて 子供たちに何かあったら、と心臓痛くなる毎日です(泣) あぁどうか幸せになりますように (12月20日 20時) (レス) @page35 id: af4e907359 (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - にこさん» コメントありがとうございます！宮舘家を見守ってくださり嬉しいですˊᵕˋたっぷり愛情注いでくれると思いますので、今後もお付き合いくださると幸いです( ¨̮ )︎︎♡ (11月22日 10時) (レス) id: 0b5df8b91d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：谷森山
| 作成日時：2023年11月1日 1時
