両手のちいさなぬくもりで。4*ab ページ33
『そっか、お前翔太のガキなら…』
映像の男性はニヤリと笑うと、啜り泣く蓮くんの頭をポンと撫でる。
さっきまでとは打って変わってやさしい笑顔に見覚えがあって、そういえばスノレンジャーの敵役にこんなような人居た気がするな。
『レンくんさ、俺の家遊びに来る?』
『…ほぇ?』
『スノレンジャーの限定オモチャ(関係者限定の試作品)とか、パパとママの若い頃の写真(撮影は2年前)とかあるよ』
『ほんとっ!?』
「…いや、まずいって!」
慌てて映像をまた早送りしてもらい行方を追うと、公園から出て左に曲がったのが僅かに見て取れた。
岩本さんが探しに行ったのは右へ曲がった方。
急いで追いかけないと本当に連れて行かれちゃう。
(…でも、康二を連れて走れない…)
俺が全力で走れば、間に合うかもしれない。
あわあわする康二の頭を撫でて、深澤さんに電話をかけた。
管理室まで来て欲しいと伝え、警備さんには深澤さんが来るまで康二を預かってもらうことにした。
「いいのかい?警察電話しなくて」
「…これで俺が間に合わなければ、警察も考えようかと。とりあえず、行ってみます」
「わかった、気をつけるんだよ」
「あべちゃん!ぜったいだいじょうぶやで!」
「…ん、ありがと。行ってくる」
管理室から出ると、一目散に公園から左へ向かって走った。
幸いこの道はしばらく1本道で、男性の歩く速度はわからないけど、蓮くんはちっちゃい足でゆっくり歩く子。
まだそんな遠くには行ってないはず。
1本道といえど登り坂だったり下り坂だったり、車泣かせのカーブがあったりで見通しはよくない。
それでもしばらく全力ダッシュしてると、前の方にちいさくふたりの影が見えた。
「…っ、蓮くん!!」
「ふぇ?あ!あべちゃ!」
追いついた瞬間、思わずちいさな体を力の限り抱きしめた。
「なに?どしたの?」
「…っどうしたのじゃない!!急に居なくなってびっくりしたよ!ほんとっ…心配したんだから、っ…!」
整わない息に紛れて、安心からか涙が溢れてきた。
蓮くんはおろおろしながら俺の背中に手を回し、ちいさくごめんしゃいと呟く。
「レンくんのお兄ちゃん?」
「…違いますけど、貴方が自宅に蓮くんを連れ込もうとしてたのは防犯カメラの映像で見ました」
「それってもう翔太知ってる?」
「…はい?」
あっけらかんと言い放つ男性は、少し隈の目立つ目を俺に向けた。
…人気俳優さんなんだよね?なんか…こわい。
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谷森山(プロフ) - サクラサクさん» コメントありがとうございます!楽しんでいただけてるようで何よりです😇❤️現在続編を制作中ですので、少々お待ちいただけますと幸いです!よろしくお願いいたします🥺✨ (1月14日 22時) (レス) id: 0b5df8b91d (このIDを非表示/違反報告)
サクラサク(プロフ) - 初めまして 世界観に入り込んで泣きながら読みました。みんなが幸せになりますように!続きまってます。 (1月14日 1時) (レス) @page50 id: 8091bfce66 (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - ハルさん» コメントありがとうございます!子供たちの幸せを願っていただき嬉しいです( ;ᯅ; )❤️つらいことも家族で一緒に乗り越えて、逞しくやさしい子に育ってくれるといいですよね( ¨̮ )♡ (12月21日 10時) (レス) id: 0b5df8b91d (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 良かった、、、、もう入り込みすぎて 子供たちに何かあったら、と心臓痛くなる毎日です(泣) あぁどうか幸せになりますように (12月20日 20時) (レス) @page35 id: af4e907359 (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - にこさん» コメントありがとうございます!宮舘家を見守ってくださり嬉しいですˊᵕˋたっぷり愛情注いでくれると思いますので、今後もお付き合いくださると幸いです( ¨̮ )︎︎♡ (11月22日 10時) (レス) id: 0b5df8b91d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:谷森山 | 作成日時:2023年11月1日 1時