その手のひらは魔法みたいに。4*ab ページ29
夕方までは調子が良かったんだけど、夜になると一気にまた熱が上がってきた。
佐久間さんは康二のお迎えを宮舘さんに頼んだらしく、玄関から蓮くんと康二の楽しそうな声が聞こえる。
「ほら蓮、阿部寝てるから静かにするよ」
「あべちゃ、あえないの？」
「う〜ん、蓮くんと康二は会えないなぁ。また熱上がってきちゃってね」
「あべちゃ……」
「蓮、阿部に会えるの楽しみにしてたもんね。また今度遊びに来よう」
「んぅ……」
下を向く蓮くんのまるい頬が、容易に想像できた。
俺も一緒に遊びたいな。はやく元気にならないと康二にも会えない。
そのままうとうとしてたらいつの間にか寝てたみたい。
目を覚ますと外は暗くて、微かに風呂場から康二と佐久間さんの歌声が聞こえてきた。
(…お風呂、俺も入りたい…)
高熱のせいで寒くて布団を被ってたから汗かいてる。
でも熱が高いうちにお風呂入ると余計寒いし、悪化するんだよなぁ。
「……さむ、」
体を起こして布団から出た肩が寒くて、佐久間さんが掛けてくれていたアウターに腕を通す。
枕元に置いてた水分がなくなったから、キッチンへ取りに行こうとベッドから足を出した時、ちょうど寝室の扉が開いた。
「あれっ、起きてた。未開封ポカリ持ってきたけど、飲める？」
「…すごい、ちょうどいま取りに行こうとしてたんです」
「タイミング神じゃん！熱はかった？」
冷たいペットボトルを受け取って体温計に手を伸ばす。
自分でわかるぐらい体がだるいから、多分熱は下がってない。
「…38.6℃…ん〜、下がんないねぇ」
ふわりと髪を撫でてくれる手のひらから、ボディーソープの甘い香りがした。
さっきまで寝てたのに、不思議と佐久間さんに撫でられると眠くなる。
「もうちょい寝れる？」
「…はい。……あの、手…」
「俺は味を占めた。撫でながらだと阿部ちゃんはよく寝てくれるという事に気付きました」
「…ふふ、じゃあお願いします」
やさしく撫でてくれる手。
遠くなる意識の中で、寝室のドアを挟んだ向こうから康二の声がした。
佐久間さんが慌てて入らないよう注意してるけど、丸1日康二に会えないの久しぶりだから、俺も寂しいな。
「…おやすみ」
あたたかい声も相まって、すぐ眠りについた。
本当に佐久間さんって不思議なひとだ。
やさしい笑顔も、声も、手のひらも、全部安心できる。
まるで魔法にかけられたみたいで、この感覚は割と好きだったり。
両手のちいさなぬくもりで。1*ab→←その手のひらは魔法みたいに。3*ab
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谷森山(プロフ) - サクラサクさん» コメントありがとうございます！楽しんでいただけてるようで何よりです😇❤️現在続編を制作中ですので、少々お待ちいただけますと幸いです！よろしくお願いいたします🥺✨ (1月14日 22時) (
レス) id: 0b5df8b91d (このIDを非表示/違反報告)
サクラサク(プロフ) - 初めまして 世界観に入り込んで泣きながら読みました。みんなが幸せになりますように！続きまってます。 (1月14日 1時) (レス) @page50 id: 8091bfce66 (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - ハルさん» コメントありがとうございます！子供たちの幸せを願っていただき嬉しいです( ;ᯅ; )❤️つらいことも家族で一緒に乗り越えて、逞しくやさしい子に育ってくれるといいですよね( ¨̮ )♡ (12月21日 10時) (レス) id: 0b5df8b91d (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 良かった、、、、もう入り込みすぎて 子供たちに何かあったら、と心臓痛くなる毎日です(泣) あぁどうか幸せになりますように (12月20日 20時) (レス) @page35 id: af4e907359 (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - にこさん» コメントありがとうございます！宮舘家を見守ってくださり嬉しいですˊᵕˋたっぷり愛情注いでくれると思いますので、今後もお付き合いくださると幸いです( ¨̮ )︎︎♡ (11月22日 10時) (レス) id: 0b5df8b91d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：谷森山
| 作成日時：2023年11月1日 1時
