深海たゆたう虹になれ。2*ab ページ19
「俺は佐久間 大介。7月5日生まれのかに座で、血液型はO型。168cm。職業はスーツアクターとスタントマン。アクロバットには自信あるよ」
「…え？」
「すきな食べ物はいっぱいあるけど、阿部ちゃんの作る料理で言うなら1番すきなのはハンバーグと卵焼きかな」
「ま、待ってください！どうしたんですか突然？」
いきなり始まった自己紹介。
佐久間さんはのんびり泳ぐクラゲたちを見上げながら、んー？と間延びした声を出した。
「…昨日、俺は思い知ったわけよ。まだまだ阿部ちゃんと康二のこと、何もわかってないなって。…だからまずは俺のこと知ってもらわなきゃって」
何もわかってないなんてこと、絶対にない。
いままで出会ったどんな大人より、佐久間さんは俺たちの気持ちを理解しようと頑張ってくれてる。
俺たちのトラウマに寄り添って、やさしく抱きしめてくれる。
だからどうして突然そんなことを言い出すのか理解できなくて、何も言えなかった。
「…今日、誕生日なんだって？」
「……あ、忘れてた」
ただの平日としか考えてなかったけど、今日は11月27日。誕生日だ。
佐久間さんはやさしく微笑むと、そっと俺の手を握りしめた。
いつもあたたかい手のひらは、冷えきった俺たちの心を少しずつ溶かしてくれる。
「…阿部ちゃん、生まれてきてくれてありがとう。康二を守ってくれてありがとう。…俺のところに来てくれて、ありがとう」
ぽつぽつと、1段上の階段から降ってくる言葉。
握られた手の温度よりあたたかくて、思わず涙が出そうになる。
やさしい笑顔は、7色のライトで輝くクラゲより、ずっとまぶしかった。
「誕生日おめでとう。あいしてる」
…父さん、母さん。
佐久間さんの笑顔って、たまに父さんと母さんを思い出すんだ。
すごいやさしくて、あったかくて。
あぁ、ほんとに俺のこと、あいしてくれてるんだって。
「っ、うぁあぁぁ〜！」
「よしよし」
子供みたいに、康二よりおおきな声を上げて泣いた。
佐久間さんはやさしく抱きしめてくれて、そっと背中を撫でてくれる。
「…まだ16歳だよ？たまには思いっきり泣いたっていい。…大人になろうなんて、思わなくっていいんだ」
いつもあったかくて、やさしくて…俺たちを家族だと言ってくれる。
なんの涙か自分でもわからなかったけど、どうしようもなく溢れるそれを止められなくて。
それでも、佐久間さんはずっと抱きしめてくれた。
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谷森山(プロフ) - サクラサクさん» コメントありがとうございます！楽しんでいただけてるようで何よりです😇❤️現在続編を制作中ですので、少々お待ちいただけますと幸いです！よろしくお願いいたします🥺✨ (1月14日 22時) (
レス) id: 0b5df8b91d (このIDを非表示/違反報告)
サクラサク(プロフ) - 初めまして 世界観に入り込んで泣きながら読みました。みんなが幸せになりますように！続きまってます。 (1月14日 1時) (レス) @page50 id: 8091bfce66 (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - ハルさん» コメントありがとうございます！子供たちの幸せを願っていただき嬉しいです( ;ᯅ; )❤️つらいことも家族で一緒に乗り越えて、逞しくやさしい子に育ってくれるといいですよね( ¨̮ )♡ (12月21日 10時) (レス) id: 0b5df8b91d (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 良かった、、、、もう入り込みすぎて 子供たちに何かあったら、と心臓痛くなる毎日です(泣) あぁどうか幸せになりますように (12月20日 20時) (レス) @page35 id: af4e907359 (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - にこさん» コメントありがとうございます！宮舘家を見守ってくださり嬉しいですˊᵕˋたっぷり愛情注いでくれると思いますので、今後もお付き合いくださると幸いです( ¨̮ )︎︎♡ (11月22日 10時) (レス) id: 0b5df8b91d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：谷森山
| 作成日時：2023年11月1日 1時
