栗ごはんのお弁当。2*sk ページ2
翌週末、ふたりを車に乗せて結婚式場を目指した。
近場のところから行こうと思って調べてみたんだけど、最近の式場はチャペルが白だけとは限らないみたい。
屋根がレンガだったり、薄らグレーだったり。阿部ちゃんのトラウマは真っ白なチャペルらしい。
涼太と翔太が式を挙げるところも教えてもらい、今日は最後にそこへ行ってみようと阿部ちゃんには話した。
「どこいくん？どらいぶ？」
「そだよ〜。康二、ちゃんとお弁当守っててね！」
「まかしとき！あんぜんうんてん、たのむで！」
「おっけ、任しとき！」
康二が大事に抱きしめるバッグには、阿部ちゃんが早起きして作ってくれたお弁当が入ってる。
せっかくだから紅葉狩りもしようと提案して、レジャーシートも一緒に持ってきた。
俺と康二が拾ってきた栗と薩摩芋を炊飯器に入れてるの見たから、芋栗ごはんだ！って朝から康二と喜びの舞を踊ったところ。
嬉しそうに後部座席で足をばたつかせる康二はきっと、いまからトラウマがほじくり返されることに気付いてない。
いや、ほじくり返すつもりはないんだけど。
助手席の阿部ちゃんは既に顔色が真っ青で、一応ビニール袋を持たせておいた。
「…まず1軒目ね。無理はしないでいいから」
駐車場に車を置いて、牛歩並のペースでチャペルまで歩く。
可愛らしい花壇に囲まれた、時計台をモチーフにされたチャペル。
スタッフさんが案内してくれると寄ってきたが、友人の結婚式の下見ですと軽く受け流した。
「…康二、」
いつの間に俺の足へしがみついてた康二。
そっと抱き上げると、戸惑ったような顔でボロボロ泣いている。
「…うぅ〜…いややっ…ふぇえ…」
「…ん、こわいね」
どうして自分が泣いてるのかは理解できないみたいだけど、しっかり心に傷は残ってる。
ちいさく震える手で、しっかりと俺の肩にしがみついてきた。
…康二はダメか、阿部ちゃんはどうかな。
「…阿部ちゃん？」
周辺に阿部ちゃんの姿がなくて、ちょっとキョロキョロした。
ふと背中に何かが当たり振り返ると、俺に隠れるように阿部ちゃんが身をちいさくしていた。
「…ダメか、こわいね」
康二を抱き上げてるから、阿部ちゃんを抱きしめてあげられない。なんで俺って腕4本ないの？
だからせめて、俯く後頭部にキスをする。
「…大丈夫、です」
「え？」
「次、行きましょう」
震える体は絶対大丈夫じゃないけど、顔を上げた阿部ちゃんは至って真面目だった。
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谷森山(プロフ) - サクラサクさん» コメントありがとうございます！楽しんでいただけてるようで何よりです😇❤️現在続編を制作中ですので、少々お待ちいただけますと幸いです！よろしくお願いいたします🥺✨ (1月14日 22時) (
レス) id: 0b5df8b91d (このIDを非表示/違反報告)
サクラサク(プロフ) - 初めまして 世界観に入り込んで泣きながら読みました。みんなが幸せになりますように！続きまってます。 (1月14日 1時) (レス) @page50 id: 8091bfce66 (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - ハルさん» コメントありがとうございます！子供たちの幸せを願っていただき嬉しいです( ;ᯅ; )❤️つらいことも家族で一緒に乗り越えて、逞しくやさしい子に育ってくれるといいですよね( ¨̮ )♡ (12月21日 10時) (レス) id: 0b5df8b91d (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 良かった、、、、もう入り込みすぎて 子供たちに何かあったら、と心臓痛くなる毎日です(泣) あぁどうか幸せになりますように (12月20日 20時) (レス) @page35 id: af4e907359 (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - にこさん» コメントありがとうございます！宮舘家を見守ってくださり嬉しいですˊᵕˋたっぷり愛情注いでくれると思いますので、今後もお付き合いくださると幸いです( ¨̮ )︎︎♡ (11月22日 10時) (レス) id: 0b5df8b91d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：谷森山
| 作成日時：2023年11月1日 1時
