10*S ページ10
突然、住宅地の中にある一軒の家が光り出す。
目を開けてられない程の光が三秒ほど。
それが収まると、家の窓からひとりの女性が顔を覗かせた。
「…あなた!」
「あ、あぁ…」
八百屋の店主は信じられないといった表情で、ぼろぼろと涙をこぼす。
どうやら、寝たきりだと言っていた奥さんらしい。
元気に窓を開けて手を振る奥さんを見て、店主は宮殿に立つ男に向かって泣き叫んだ。
「王!この御恩は一生をかけて…!!」
王、と呼ばれた男は優しく微笑み、何度も頷いた。
「なんの。お前たちが幸せでいてくれること、それが何よりの恩返しだ」
愛ある言葉に、街人たちは大きな歓声を上げた。
国王万歳、我らが王よ、生涯あなたに従います、などなど。
「…す、げ。なんだよこれ…」
「噂には聞いてたけど、ここの王は一日にひとつ、街人の願いを叶えてくれるんだって。もちろん願いはひとり一回だけど」
ガヤさんと宏光が、歓声から逃げるように路地裏へ入り込む。
俺はしばらく呆然としていて、宏光にちょんとつつかれてハッとした。
「千賀、大丈夫か?」
「あ、うん、ごめん」
「健永の使う魔法って、あんな感じなの?」
あんな感じ、というより…
「さっきの魔法は、玉の力だよ。あの王様、きっと裏で玉を操ってる」
見覚えのある金色の光は、玉の色。
人間では到底叶えられないような願いを叶え、あたかも自分のおかげだと思わせている王様。
どんな手を使ってるのかわからないが、きっと反則ギリギリの方法で玉に街人の願いを叶えさせてる。
「…それって……」
「この街のひとたちは、騙されてるってことかよ?」
「うん、ほぼ間違いなく」
「なんだよそれ、意味わかんね…」
宏光が眉間に皺を寄せた時、ガヤさんが勢いよく走り出した。
「えっ!?」
「あっははは!いーこと聞いちゃったー!」
「おま、フジガヤか!」
フジガヤは賑やかな街へ飛び出すと、未だに歓声を浴びる王へ向けて力いっぱい叫び出す。
「やーーい!イカサマ国王ーー!魔法のマの字も使えないくせにー!威張るなバァーーーカ!!」
しん、と聞こえてきそうな程の静寂。
「…ふ、フジガヤ!!」
「捕らえろ!!」
宏光がフジガヤの腕を掴んだと同時に、街人たちは怒りを露わにし、力任せにふたりを拘束し始めた。
フジガヤは心底楽しそうに笑った後、ガクリと力を落とす。
次に顔を上げたのは、顔面蒼白のガヤさんだった。
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桐山ななみ(プロフ) - わったーの悪役最高♡♡♡♡♡(*´ω`)キタヤンがマジでどうなるか気になる汗ニカ千も汗すごーく続きが気になります!!無理しなくていいので頑張ってください!! (3月12日 6時) (レス) @page20 id: c060af3ed8 (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - キスマイさん» お久しぶりです!色々お話がある中で新たに連載すみません(._.)丁寧に作っていきたいと思ってますので、ぜひ最後までお付き合いくださればと思います!よろしくお願いします(*^^*) (2018年8月10日 4時) (レス) id: 9b9168131d (このIDを非表示/違反報告)
キスマイ(プロフ) - こんばんは。久しぶりに谷森山さんのお話を読めて嬉しいです。千ちゃんと宏光の優しいやりとりに胸がぎゅっとなりました。宏光の願い事がとても気になります。ここからどうニカ千が出会うのか今後も楽しみです。これからも応援しています。 (2018年7月24日 23時) (レス) id: 64045badf0 (このIDを非表示/違反報告)
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