7*S ページ7
「聞いてたよ。妖精なんだってね?」
フジガヤはとくに驚いた様子もなく、まじまじと俺を見た。
消されることに恐怖はないのか、とても落ち着いている。
「悪いけど、消させてもらうね」
「うーん…それは無理だよケント」
フジガヤがニヤリと笑う。
俺は少し馬鹿にされている気がして、若干ムッとした。
構わず掌をフジガヤに翳す。
目を閉じて、頭の中で"フジガヤのいないガヤさん"をイメージした。
「………えっ、」
すると突然、イメージが真っ赤に点滅する。
脳内に映し出された文字は"NG"。
これは妖精の決まりである、叶えてはならない願いを叶えようとした時、強制的に力を封じられるシステムの一環だ。
妖精は、叶えたい願いの"完成形"をイメージしながら力を使う。
主人に入れこみすぎて、決まりを破る妖精もいる。
そういうのを防ぐために妖精は皆、決まりを破ろうとすると、イメージを打ち消すシステムになっている。
「なんで…人格は、命じゃないのに…」
これは規定の範囲内。
むしろ多重人格者を、主人格だけ残す願いを叶えたという前例だって少なくない。
…なら、なんでフジガヤは消せない?
「…ぶふっ…あっはっは!!残念だったねーケント!俺はァ〜…ただの"人格"じゃありまっせ〜ん!!」
「お…おい!どうなってんだ千賀!?」
「……っ…まさか………」
宏光が、震えた声で俺の肩を揺さぶる。
フジガヤはひとつ鼻で笑うと、自らの指に勢いよく噛み付いた。
「!?や、やめろっ!」
反射で飛びついた宏光に、ガバッと抱きつくフジガヤ。
くっきり付いた歯形からは、じわりと血が滲み始めた。
「ふふ、そのまさかでぇ〜す!…俺はね、"魂"だよ」
「…せ、千賀!藤ヶ谷はっ!?」
宏光はなんとかフジガヤを振り切ると、今にも泣き出しそうに顔を歪めながら、俺の胸ぐらを引っ掴んだ。
「………宏光、聞いて。…本来多重人格は、他の人格が表に出ている時の主人格の記憶はほとんどない。逆もしかりだよ。でもフジガヤは俺が妖精だって話も"聞いてた"し、ガヤさんも宏光に"俺がひどいことした"って言ってたでしょ?」
「…なに、どういう……」
「"人格"は、その人の肉体を通してその人をコントロールする。"魂"は、もともとあるその人の"魂"を外に出して、完全に体を自分一人のものにしてしまうんだ」
つまり、この会話は今もガヤさんに届いている。
…たぶん、自分を上から見ているような、そんな感じじゃないかな。
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桐山ななみ(プロフ) - わったーの悪役最高♡♡♡♡♡(*´ω`)キタヤンがマジでどうなるか気になる汗ニカ千も汗すごーく続きが気になります!!無理しなくていいので頑張ってください!! (3月12日 6時) (レス) @page20 id: c060af3ed8 (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - キスマイさん» お久しぶりです!色々お話がある中で新たに連載すみません(._.)丁寧に作っていきたいと思ってますので、ぜひ最後までお付き合いくださればと思います!よろしくお願いします(*^^*) (2018年8月10日 4時) (レス) id: 9b9168131d (このIDを非表示/違反報告)
キスマイ(プロフ) - こんばんは。久しぶりに谷森山さんのお話を読めて嬉しいです。千ちゃんと宏光の優しいやりとりに胸がぎゅっとなりました。宏光の願い事がとても気になります。ここからどうニカ千が出会うのか今後も楽しみです。これからも応援しています。 (2018年7月24日 23時) (レス) id: 64045badf0 (このIDを非表示/違反報告)
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