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6*S ページ6

「…妖精…か。ほんとなの?」


まんまるな目で、俺をまじまじと見つめるフジガヤ。

宏光はちょっとだけ困ったように笑った。


「ああ。いま話したとおり、千賀は七つの願いを叶えてくれるんだ」


今までの経緯を、ざっくりと話した宏光。

同時に俺も、ざっくりと願いの詳細を聞いた。


「えっと…健永?だっけ。俺は太輔。みんなからはガヤって呼ばれてるけど、好きに呼んでくれていいよ」

「あ、じゃあ…ガヤさん」


ガヤさんはにっこりと笑うと、腕の引っかき傷を撫でた。



「…千賀、藤ヶ谷の中にはもうひとり……フジガヤがいるんだ」



宏光の話はこうだ。


幼なじみの宏光とガヤさん。

ある日、ふたりで川に出かけた。

そこでガヤさんは、よくわからない虫に噛みつかれてしまった。

激痛とともに意識を失ったガヤさんは、目を開けると大声で笑い出したという。

それから、宏光にこう言った。




"キタヤマ、俺だけのものになってよ"。



宏光が困惑していると、フジガヤは意地悪く自分の…ガヤさんの手の甲を思い切り引っ掻いた。

どうやらガヤさんの存在が邪魔だと感じて、宏光を独占するためにとった行動らしい。


それから宏光がガヤさんの心配をしたり、フジガヤに対して前向きな態度を取らなかったりすると、フジガヤは自分の体を傷つけ始めた。

宏光はそれが恐ろしくて、いつかフジガヤがガヤさんを完全に乗っ取ってしまうと感じたらしい。


医者に見せても、体に異常は何も無く、手の施しようがないと諦められたのだ。

その後はふたりで、ずっとフジガヤの存在に怯えながら暮らしていたようだ。





「…俺が、北山を傷つけたことも…一度や二度じゃないんだ」

「ばか!お前じゃなくてフジガヤだろ!」

「そうだけど…!」


今にも泣き出しそうなふたり。

病気を治したりするのは割と得意だけど、得体の知れない人格を治した試しはない。

これは思った以上に、大仕事になりそうだ。



「ふたりとも、安心して。ちゃんと叶えられる願いだから」


大変な願いだけど、できないわけじゃない。

人格を消すのは…人の命を奪うわけではないから。


「…でも、消すにはフジガヤに出てきてもらう必要があるんだ。……いいかな?」


ふたりはゆっくりと顔を見合わせると、そっと頷いた。

ガヤさんは静かに息を吐き、目を閉じた。




「……んふふっ」


間もなくして、楽しそうな含み笑いがガヤさんの口から漏れる。



…いや、いま笑ったのは…フジガヤだ。

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桐山ななみ(プロフ) - わったーの悪役最高♡♡♡♡♡(*´ω`)キタヤンがマジでどうなるか気になる汗ニカ千も汗すごーく続きが気になります!!無理しなくていいので頑張ってください!! (3月12日 6時) (レス) @page20 id: c060af3ed8 (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - キスマイさん» お久しぶりです!色々お話がある中で新たに連載すみません(._.)丁寧に作っていきたいと思ってますので、ぜひ最後までお付き合いくださればと思います!よろしくお願いします(*^^*) (2018年8月10日 4時) (レス) id: 9b9168131d (このIDを非表示/違反報告)
キスマイ(プロフ) - こんばんは。久しぶりに谷森山さんのお話を読めて嬉しいです。千ちゃんと宏光の優しいやりとりに胸がぎゅっとなりました。宏光の願い事がとても気になります。ここからどうニカ千が出会うのか今後も楽しみです。これからも応援しています。 (2018年7月24日 23時) (レス) id: 64045badf0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:谷森山 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年6月6日 12時

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