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13*Ki ページ13

「っ、がっちゃん!?」

「…たま!」


檻の外から食い入るように千賀を見る、細長くて真っ白な青年。

光に透けてビー玉のような大きな瞳は、はっきりと千賀を映して見開かれている。


「な、なんでがっちゃんが居るのよ…」

「ちょうどよかった。玉に会いに来たんだ!」


玉、と呼ばれたその子。

この子が、フジガヤを消す魔法の使える妖精なのか。

千賀が嬉々として玉に近付くと、玉はサッと顔色を蒼くした。



「…っだめ!!」

「!?」



バチン!と、痛々しい音が響いた。

玉が千賀へかざした手のひらからバリアのような物が作り出され、千賀はそれに弾き飛ばされた。


「いっ、て…なに?どうしたの、玉…」

「だめなの!とりあえず…はやく逃げて!がっちゃんだけでも!」

「どういうこと!?ねぇ、たま!」

「今は説明できない!1メートル以内、俺に近付いちゃだめ!!」



玉は慌てて、俺たちの後ろにある分厚い壁に穴を開ける。



「ほら、王宮の裏口に繋がってる。誰にもバレないから!」

「待ってよ玉!俺たちは…」




「なにやってるの?裕太」



「…っ!わったー…」




牢獄の入り口から聞こえた低い声に、玉はひゅっと息を呑む。

声の持ち主は先程王宮の頂上に立っていた男で、この国の王であるとわかった。


俺も名前はうろ覚えだが、確か…横尾さん?だった気がする。



「久しぶりに牢獄を使ったって聞いたからさ、どんな奴らかなーって見に来たんだよね。…逃がそうとした?」

「や、その…っ」


じりじりと近付く横尾さんが、なんだか怖い。

玉はかざしていた手を引っ込め、横尾さんから逃げるように一歩後ずさった。





「…いま、逃げたね?」




地を這うような、低い声。

街人たちに聞かせていた声とはまるで違うそれに、俺は無意識に藤ヶ谷の手をぎゅっと握りしめた。




「っ!ぅあぁぁあ!」



突然、喉元を押さえて崩れ落ちる玉。

よく見ればその首には何かの機械が着けられていて、ギチギチと締め上げる音が微かに聞こえてくる。


いち早くそれに気づいた千賀は、ムッとした表情で玉へ手をかざした。



「…っ玉をいじめないでよ!!」



水色の光が、玉の喉元を覆う。

機械がシュンと静かになると、玉は盛大に咳き込んだ。

横尾さんは目を丸くして…千賀を見るとニヤリと笑う。



「…君も、妖精?」

「げほっ、はぁ…がっちゃん、にげて…!」


一歩ずつ近付いてきた横尾さんは、牢を開けると突然俺の腕を掴んだ。

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桐山ななみ(プロフ) - わったーの悪役最高♡♡♡♡♡(*´ω`)キタヤンがマジでどうなるか気になる汗ニカ千も汗すごーく続きが気になります!!無理しなくていいので頑張ってください!! (3月12日 6時) (レス) @page20 id: c060af3ed8 (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - キスマイさん» お久しぶりです!色々お話がある中で新たに連載すみません(._.)丁寧に作っていきたいと思ってますので、ぜひ最後までお付き合いくださればと思います!よろしくお願いします(*^^*) (2018年8月10日 4時) (レス) id: 9b9168131d (このIDを非表示/違反報告)
キスマイ(プロフ) - こんばんは。久しぶりに谷森山さんのお話を読めて嬉しいです。千ちゃんと宏光の優しいやりとりに胸がぎゅっとなりました。宏光の願い事がとても気になります。ここからどうニカ千が出会うのか今後も楽しみです。これからも応援しています。 (2018年7月24日 23時) (レス) id: 64045badf0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:谷森山 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年6月6日 12時

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