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1*S ページ1

「はぁ、はぁ…っ」


視界も鈍る豪雨。

裸足で踏みつける地面は、雨水で緩くなり足にまとわりついてくる。


それでも、俺は走り続けた。



「待てコラァー!」


振り返れば、大勢の男達が俺を追ってくる。

あれに捕まれば…終わりだ。


「くそっ、どうしよう…」


なんとか身を隠そうと、木がたくさん生えた林に逃げ込んだ。

男達は懐中電灯で周りを照らしながら、手分けして俺を探してるようだ。


見つかるのも、時間の問題か。


一か八か、全力で走り出す。

後ろの方から、いたぞーと小さい叫びが聞こえる。

振り返らず、視界の悪い林を走り続けた。


「ヤローっ、待て!」


一人の男が、足元にあった小石を掴んで投げつけて来た。



「………っ!?」



それは俺の右膝裏に当たって、がくりと力が抜けた。

倒れ込んだ右側は………



「う、ぅわぁあぁぁあ!?」


下の見えない、崖。


岩肌が剥き出しのそこを、俺は勢いよく転げ落ちて行った。






「う…」


体がどこかに落ち着いたらしい、痛みや衝撃がなくなった。

…いや、痛みは十分にあるんだけど。


うっすら目を開けると、見たことない街が遠くに見える。

雨は先程よりは小降りになっていて、朝が近いのか少しだけ視界は明るかった。


はやくここから動かないと、奴らが追ってきてしまう。



「痛…っ」


だけど、足を挫いたらしい。

足だけでなく、体は激痛でなかなか動いてくれなかった。


もう、諦めるしかないのかな。


冷たい地面に腹這いになれば、疲れからか急激な眠気が襲ってきた。

雨はほとんど止んだみたいだ、朝日が地面に反射して眩しかった。




「…おい、大丈夫か?」


視界の端に知らない足を捉えたけど、瞼を上げるのが億劫で。

優しい声に頷きもせず、俺はそのまま眠りに落ちた。

2*S→



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桐山ななみ(プロフ) - わったーの悪役最高♡♡♡♡♡(*´ω`)キタヤンがマジでどうなるか気になる汗ニカ千も汗すごーく続きが気になります!!無理しなくていいので頑張ってください!! (3月12日 6時) (レス) @page20 id: c060af3ed8 (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - キスマイさん» お久しぶりです!色々お話がある中で新たに連載すみません(._.)丁寧に作っていきたいと思ってますので、ぜひ最後までお付き合いくださればと思います!よろしくお願いします(*^^*) (2018年8月10日 4時) (レス) id: 9b9168131d (このIDを非表示/違反報告)
キスマイ(プロフ) - こんばんは。久しぶりに谷森山さんのお話を読めて嬉しいです。千ちゃんと宏光の優しいやりとりに胸がぎゅっとなりました。宏光の願い事がとても気になります。ここからどうニカ千が出会うのか今後も楽しみです。これからも応援しています。 (2018年7月24日 23時) (レス) id: 64045badf0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:谷森山 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年6月6日 12時

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