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29*F ページ29

どうやら俺たちは、大歓迎されているらしい。


「くそっ…!もう、誰が舌噛んだとか関係ねぇからな!!」


進んだ先に必ず待ち受けている、堕天人たち。

その度に車を飛ばすもんだから、俺はもちろん三人はぐったりだ。

ちゃんとシートベルトを着用していてくれて、心底よかったと思う。


「はぁ、っ…も、無理…」

「どこ?ここ…」

「たぶん、山道まで入って来ちゃったと思うけど…。途中で立ち入り禁止の看板ぶっ飛ばして来たから」

「まじか…」


堕天人とともにぶっ飛ばして来た、立ち入り禁止の看板。

つまりそれは、今現在居るのは山道という事だ。

山道に入ってしばらく徐行運転していたが、堕天人たちは現れてこない。


「もしかして、山に入れないための番人だったのかもね」

「入っちゃえばこっちのもん、ってか?」


運転手として油断はできない。

健永と北山の会話を、そうであってほしいと願いながらも、慎重にアクセルを踏んでいく。


「…っと、」


とん、とブレーキを踏んだ場所。

その先は細く、岩肌が剥き出しになっている。

とてもじゃないが、車では通れなさそうだ。


「仕方ない…降りるか」

「う…こえぇ…っ」


ビビる宮田の背を押しながら、健永が外へ出る。

宮田も外へ出たのを確認すると、俺はエンジンを切ろうとギアをパーキングに入れた。





「feeling so alive?」

「ふ、藤ヶ谷!!」

「っ!!」


その時突然、目の前に現れた堕天人。

そいつの視界には、既に車を降りた健永と宮田が居て。


「…っさせるかよ!!」


歩き出したそいつを阻止するために、もう一度ギアをドライブに入れた。

ギュインとけたたましくタイヤが鳴るほど強くアクセルを踏めば、車体は堕天人をボンネットに乗り上げながら細い道をガラガラと走る。


「うわあぁあっ!」

「北山、しっかりつかまってろ…!!」


岩肌がタイヤを破裂させ、車は傾きながら転がり落ちていく。

堕天人はヒビの入ったフロントガラスから、北山に手を伸ばす。


「…触らせねぇっ!!」

「ふじ、っ…!」


もはやハンドルが言うことを聞かない。

それならばと、俺は北山を力任せに抱きしめ、荒々しく唇を塞いだ。


「feel…」


ゴォンと轟くような大きな音。

幸いにも車体は、運転席側を下に横転して転がってくれたらしい。

北山に目立った外傷はなさそうだ。


「藤ヶ谷…!!」


ぼろぼろに泣く北山の掌は、北山のものではない血で染まっていた。

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- 初めまして。ひっそりファンで何度も作品を読み返している者です。すぐ引き込まれて読むのがいつも楽しいです。題材材料となる専門的知識がすごいですね。しっかり勉強熟読して作品にされてるからファンタジーでも抵抗無く読めるのだと思います。更新嬉しかったです。 (2020年12月7日 14時) (レス) id: 86cd2f1e13 (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - こんばんは(TT) おまけのお話、すごく大切に読ませて頂きました……図々しくもSNSで作品名を出させて頂いた者です(;ω;) 作品の世界にどっぷりとハマり数日間余韻が抜けなくて^^; がじゃいも…の台詞のところで涙腺やられました(TT) 本当に大好きな作品です… (2020年12月6日 0時) (レス) id: a7b3edb10a (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - シンプルにすばらしいです…なきました (2019年8月28日 17時) (レス) id: f95f9b47d8 (このIDを非表示/違反報告)
なぁ(プロフ) - はじめまして。読み始めたら止まらなくて一気に読んでしまいました。まっしろたまちゃんかわいいし可哀想だし読みながら号泣してしまいました…!素敵なお話ありがとうございました!谷森山さんの他のお話も読ませていただこうと思います (2017年6月20日 1時) (レス) id: 6204cccf27 (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - ひよさん» はじめまして。お返事遅れまして申し訳ありません!最後までお付き合いくださりありがとうございました!ご満足いただける作品になっているようで安心いたしました!たまちゃんは永遠の天使です(ドヤァ)他作品でも、またよろしくお願いしますね(*^^*) (2017年6月6日 18時) (レス) id: 9b9168131d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:谷森山 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2016年6月15日 4時

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