11*M ページ11
「もしもし」
「玉、もしもし。ガヤって呼んでね」
「う？」
「…もしもし。玉、ガヤだよ」
「ギャ」
「…ふふっ、なんでもいっか」
なんだか慣れた様子で玉の頭を撫でるガヤさん。
玉はガヤって言えないみたいで、ずっと“ギャ”って言ってる。
「お前がこないだ言ってた家族って、この子だったんだな」
「うん…ちょっと色々あってさ」
「たまって、てっきり猫かと思ってたけど」
(…猫より、玉の方がかわいいでしょ？)
午前中は、職場の人たちも玉を珍しそうに見てきた。
でもそのたびに玉が不安そうにしがみついてくるから、究極の人見知りだって事にしておいた。
「んー！」
「宮田、この子しゃべらねぇの？」
「あ、えっと…言語に難があって…」
「ふぅん」
「んーん、ん」
あんなに拒んでた上司も、玉が可愛いもんだからすっかりニヤニヤしてる。
玉がデスク周りをちょこちょこ歩くと、近くにいる人たちはみんなほっこり微笑むんだ。
「宮田」
「ん？」
「…ちょっと、玉も」
「ギャ？」
お昼休み、ガヤさんに手を引かれ、地下駐車場に来た。
玉は暗いところが苦手みたいで、俺の腕にしがみついてぎゅっと目を閉じている。
「どしたの？」
「…いや、ちょっと確認なんだけど」
「あぅ？」
ガヤさんは一瞬で、玉のウィッグとマスクを奪う。
隠れていた真っ白な部分が現れて、俺は慌てて玉を抱きしめた。
「ちょ、ちょっと何！？」
「…やっぱり」
「うー？」
よくわかってなさそうな玉に、急いでパーカーのフードを被せる。
ガヤさんが口を開くと、後ろから声が聞こえてきた。
「おーい、藤ヶ谷。宮田〜」
「…あ、北山」
「きたみつ！」
「！」
駐車場に車を停めたきたみつは、多分ガヤさんのであろうお弁当を片手にパタパタ駆けてきた。
「なにしてんだ？こんな所で」
「ちょうどよかった。北山、実は…」
「みつ！！」
「…えっ」
舌っ足らずな甘え声は、紛れもなく玉の声で。
俺の腕から抜け出すと、玉はきたみつの首もとに抱きついた。
「…お前、たま！？」
「みつ〜〜」
「…やっぱりか」
「えっ待って、知り合いなの！？」
玉の背中をトントン撫でるきたみつ、ため息混じりに頷くガヤさん、嬉しそうにきたみつの胸に額をすり付ける玉。
ひとりだけ慌てふためく、俺。
「宮田、詳しいことは仕事終わったら話す。とりあえず玉は北山に預けておこう」
冷静に切り出すガヤさんに、俺は頷くしかなかった。
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愛 - 初めまして。ひっそりファンで何度も作品を読み返している者です。すぐ引き込まれて読むのがいつも楽しいです。題材材料となる専門的知識がすごいですね。しっかり勉強熟読して作品にされてるからファンタジーでも抵抗無く読めるのだと思います。更新嬉しかったです。 (2020年12月7日 14時) (
レス) id: 86cd2f1e13 (このIDを非表示/違反報告)
nanaco(プロフ) - こんばんは(TT) おまけのお話、すごく大切に読ませて頂きました……図々しくもSNSで作品名を出させて頂いた者です(；ω；) 作品の世界にどっぷりとハマり数日間余韻が抜けなくて^^; がじゃいも…の台詞のところで涙腺やられました(TT) 本当に大好きな作品です… (2020年12月6日 0時) (レス) id: a7b3edb10a (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - シンプルにすばらしいです…なきました (2019年8月28日 17時) (レス) id: f95f9b47d8 (このIDを非表示/違反報告)
なぁ(プロフ) - はじめまして。読み始めたら止まらなくて一気に読んでしまいました。まっしろたまちゃんかわいいし可哀想だし読みながら号泣してしまいました…！素敵なお話ありがとうございました！谷森山さんの他のお話も読ませていただこうと思います (2017年6月20日 1時) (レス) id: 6204cccf27 (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - ひよさん» はじめまして。お返事遅れまして申し訳ありません！最後までお付き合いくださりありがとうございました！ご満足いただける作品になっているようで安心いたしました！たまちゃんは永遠の天使です(ﾄﾞﾔｧ)他作品でも、またよろしくお願いしますね(*^^*) (2017年6月6日 18時) (レス) id: 9b9168131d (このIDを非表示/違反報告)
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