桜が散る前に1*F ページ43
「母さぁあぁぁああぁん!!!」
学校が始まり、また新たな学級が始まった。
一週間前から祈り続けた甲斐あってか、俺は北山と同じクラスになれた。
「おかえり太輔。どしたの?」
「きいて!きいて母さん聞いて!」
「聞いてる聞いてる」
始業式が終わって、午前のうちに学校は終わり。
北山を家まで送ってきたんだけど。
「今から北山と!お花見行く!!」
帰り道、暖かくなった春風にほっこりしながら、北山と歩いた桜並木。
強くなってきた風に、桜はせっかく結んだ花びらを一枚また一枚と散らしていく。
「…桜」
「ん?なに?」
そんな桜を見上げながら、ふと北山が立ち止まる。
青空に舞う桜の花びらが綺麗なコントラストを産んで、その中に立つ北山は…儚く綺麗で。
「…お前、このあと予定ある?」
「えっ、ないけど」
「…桜見に行かね?散っちゃう前にさ」
どうやら大きな桜が一本だけそびえ立つ場所を知っているようで、13時に近くの噴水公園で待ち合わせをした。
「ほぅ」
「お花見って何か必要だっけ?お団子?お酒?お弁当??」
「たいぴー落ち着きなさい。あなた未成年でしょ」
興奮覚めやらぬ俺のおでこを、母さんはこつんとつついた。
「とりあえず制服着替えて」
「俺おしゃれな服持ってない…」
「頑張り過ぎなくてもいいのよ〜。普通にパーカーとかでいいんじゃない?」
あたふたと箪笥を漁る俺を、母さんは昼寝をしてるひろの髪を撫でながら呑気に見てる。
とりあえずお気に入りのジーンズと、こないだ買ったデニムのシャツ。
…デニムデニムになっちゃったから、シャツはボタンを開けてインナーにはこなれたTシャツを選んだ。
「どう?おかしくない?」
「ん〜、我が息子ながらモデル並みだねぇ〜」
鏡と母さんを交互に見てたら、騒いだせいかひろがムニャムニャと目を覚ます。
「んにゃ……たいちゃ〜…」
「あ、ひろ」
「たいちゃ、あしょぼ!」
「…ひろ、お兄ちゃんこれからお出かけなんだ。ごめんね」
「…たいちゃ、あしょぶの、いやいや?……ひろ、きらいきらい?」
「………くっ」
この、涙目でおねだり攻撃。
俺に限らず、家族全員これに弱い。
「…き、きらいきらいじゃないよ。でも、お兄ちゃんも遊んでくるの」
「ひろも!ひろもいく!あしょぶ〜!!」
「…えぇえ!?」
「んはははっ。太輔、ひろに負けたね」
…いや、母さん。
笑ってないでなんとかしてよ〜!
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谷森山(プロフ) - たみさん» もうおたまママからしたら、「えっ?太輔みっちゃんと結婚するんだよね?」の勢いですね笑 続編もちまちま作成していますので、そちらもお付き合いくださいますと嬉しいです〜(*^^*)お願いいたします(^o^) (2016年5月16日 13時) (レス) id: 2433512750 (このIDを非表示/違反報告)
たみ(プロフ) - 甘々カップルエピソードも気になります!w ドキドキしてるたいぴーかわいいです。これからも楽しみに読ませていただきます。ファミリー大好きです。 (2016年5月4日 18時) (レス) id: ab325a56e8 (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - (・8・)さん» ご感想ありがとうございます(*^^*)!なんとお兄様と読んでくださって!?光栄です(∩´∀`∩)優しいお兄様なのですね、私もほっこりしました(*^^*)よければ今後のお話も、お付き合いくださいますと嬉しいです。 (2016年4月8日 4時) (レス) id: 2433512750 (このIDを非表示/違反報告)
(・8・) - こんにちは!ことりです!私は末っ子でみっちゃんみたいな感じなんですよ…年の離れた兄が4人もいるので、この小説を二番目の兄と見てボロボロ泣きました。親が共働きでほぼと言っていいほど兄にお世話になっているので…この小説で家族の絆が強まりました!! (2016年4月6日 20時) (レス) id: 517f0d7eb3 (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - 345さん» ご感想ありがとうございます(*^o^*)おお、お子様がたくさんいらっしゃるのですね。恥ずかしながら私も母に感謝の言葉を述べた事がないので、お話を作りながら色々考えてしまいました(笑)。こちらこそ、素敵なコメントありがとうございました(*^^*) (2016年3月29日 6時) (レス) id: 2433512750 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:谷森山 | 作成日時:2015年11月13日 1時