“ただいま”のぬくもりを

お誕生日大作戦！1*N ページ39

今日は3月16日。

明日はﾏﾏの誕生日だ！


いっつも優しくて、かわいくて、おいしいご飯作ってくれるﾏﾏ。

大好きなﾏﾏの誕生日、迷惑はかけないようにしなきゃ。


みんな思うことは同じなのか、ﾏﾏの誕生日近くになるとちょっとだけお利口さんになる。

俺ももちろんそのひとりで、いつもはやらない部屋のお片付けをしたり、洗濯物を畳んでみたりした。


「おっ、えらいじゃん〜」

「へへっ！」


ﾏﾏが褒めてくれる。

にこにこ笑顔のﾏﾏは本当にかわいい。

喜んでくれてるんだって思うと嬉しくて、どんどんお手伝いした。


「たかちゃ、あしょぶ！」

「おっ、遊ぶ？よし、ひろ遊ぼ！」


いつもたい兄にべったりのひろ。

たい兄が帰ってくるまで、遊ぶことにした。

中学生は部活もあるし、俺たちより帰りは遅い。

わったーも高校生だから、たい兄よりも帰りが遅い。

今まで遊んでもらう側だった俺が、遊んであげる側になるのはなんだかちょっぴり成長した気分。


「ひろ、待て〜！」

「うきゃ〜！」


部屋を走り回るひろ。

こないだひろが拾ってきた猫が、窓辺で丸くなって寝てる。

それを踏まないようにひろを追いかけてたら、畳まれた洗濯物にひろが足を引っ掛けて盛大に転んだ。


「うぇええぇえ〜ん！！」


顔面から滑り込んだひろは、俺が畳んだ洗濯物をぐちゃぐちゃにしながら泣き喚いた。

その声に、夕飯の支度をしてたﾏﾏがぱたぱた駆けてきた。


「あらら、ひろどしたの〜」

「ままぁ〜」


ひろはﾏﾏによちよち駆け寄ると、涙でぐちゃぐちゃの顔をﾏﾏに擦り付けながら抱きついた。

ﾏﾏは俺の顔を見ると、ちいさく首を傾ける。


「なんかあったの？」

「いや…ひろが、転んで…洗濯物に…」


どうしよう、泣かせちゃった。

それに、せっかく洗濯物畳んだのに。


「…うぇっ…」


考えたらどんどん切なくなって、気付けば俺も泣いてた。

ﾏﾏはひろを片手に抱き上げると、俺の頭もﾎﾟﾝﾎﾟﾝと撫でてくれた。


「よしよし、ありがとね。ひろと遊んでくれてたんでしょ？」

「う、っ…まま、ごめんなさ…っ」

「いい〜よぉ〜。高嗣が謝ることないんだから〜」


ﾏﾏの間延びした声が、とても安心できて。

ひろと一緒にﾏﾏに泣きついた。

お利口さんで居たかったのに、結局泣いちゃった。

それでも大好きなﾏﾏの匂いに包まれると、抱きしめられるのもやっぱり好きだって思える。




ﾏﾏ、いつもありがとう。


これからもだいすきだよ。

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