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お兄ちゃんだから2*Y ページ36

「ままぁ」

「ほーい」


ままって呼んだら、すぐに振り返ってくれる。

これは俺の特権だった。

だって、ままのことままって呼ぶのは俺しかいないから。

小さいながらにも、俺はまま、ぱぱって呼ぶのが好きだったのを覚えてる。




「いててて…」

「玉、大丈夫?ゆっくりでいいから…」


そんな中、ママが突然顔を蒼くしてお腹を押さえた。

パパはママの体を支えながら、俺を抱き上げて車に乗り込む。

向かった先は、薬のニオイがきついとこ…言わば病院だ。


「まま?」

「渉、ママすぐ戻ってくるからね」


ママはひとりで診察室へ向かった。

パパはついて行きたそうだったけど、ちょっとだけ困ったように笑って俺の髪を撫でてくれた。



「…ひぃ」

「玉、どうだった?」

「…ひぃ。って感じ」

「…えっ…」


戻ってきたママの手には、黒っぽい…よくわからない写真。

(今思い返してみると、あれはエコー写真だった。)

パパは目を丸くしてママの顔を見ると、ママは少し嬉しそうな、でも複雑な顔をしてパパを見た。


「…おとこのこ、だってさ」

「…っや、…ったぁ…!」


病院だからか、パパは声を抑えて拳を握った。

喜ばしい事なんだと、俺もママの足元をくるくる回った。





そして6月、ママとパパは俺だけの特権ではなくなった。



「うぇええ〜ん!」

「ありゃりゃ、たいぴーお腹すいたのかな〜」


せかせかと弟のお世話をするママ。

パパは一生懸命仕事してるから、俺が寝る時間までいつも帰ってこない。


「まま、あそぼ〜」

「びぇえぇええ〜ん!!」

「あちゃちゃ…わったーごめん、ちょっと待っててね。たいちゃんにご飯あげてからね」


太輔は本当によく泣く子だった。

朝も昼も夜も関係なく泣いて、ママだけじゃなくパパも俺もよく起こされた。

次第にママの顔が疲れていくのがわかって、それでも泣き続ける太輔の頬をぶった事もある。

もちろん太輔は大泣き。

それに気付いたママに、なぜか俺が頬をぶたれた。


「ぶったら痛いでしょ?太輔も痛かったよ」


ママの為に太輔を静かにさせようと思ったのに、なんでママに怒られてるんだ。

それからしばらくの時間、俺はパパの部屋の隅で膝を抱えて泣いた。

ママがご飯だよって呼びに来ても、そこから動かなかった。

わがまま言わないように、いい子にしようとしてた俺。

はじめてママの言うことを無視した日だった。

お兄ちゃんだから3*Y→←お兄ちゃんだから1*S



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谷森山(プロフ) - たみさん» もうおたまママからしたら、「えっ?太輔みっちゃんと結婚するんだよね?」の勢いですね笑 続編もちまちま作成していますので、そちらもお付き合いくださいますと嬉しいです〜(*^^*)お願いいたします(^o^) (2016年5月16日 13時) (レス) id: 2433512750 (このIDを非表示/違反報告)
たみ(プロフ) - 甘々カップルエピソードも気になります!w ドキドキしてるたいぴーかわいいです。これからも楽しみに読ませていただきます。ファミリー大好きです。 (2016年5月4日 18時) (レス) id: ab325a56e8 (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - (・8・)さん» ご感想ありがとうございます(*^^*)!なんとお兄様と読んでくださって!?光栄です(∩´∀`∩)優しいお兄様なのですね、私もほっこりしました(*^^*)よければ今後のお話も、お付き合いくださいますと嬉しいです。 (2016年4月8日 4時) (レス) id: 2433512750 (このIDを非表示/違反報告)
(・8・) - こんにちは!ことりです!私は末っ子でみっちゃんみたいな感じなんですよ…年の離れた兄が4人もいるので、この小説を二番目の兄と見てボロボロ泣きました。親が共働きでほぼと言っていいほど兄にお世話になっているので…この小説で家族の絆が強まりました!! (2016年4月6日 20時) (レス) id: 517f0d7eb3 (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - 345さん» ご感想ありがとうございます(*^o^*)おお、お子様がたくさんいらっしゃるのですね。恥ずかしながら私も母に感謝の言葉を述べた事がないので、お話を作りながら色々考えてしまいました(笑)。こちらこそ、素敵なコメントありがとうございました(*^^*) (2016年3月29日 6時) (レス) id: 2433512750 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:谷森山 | 作成日時:2015年11月13日 1時

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