あなたへ贈るスウィートチョコレート2*F ページ32
数えたらきりがないから、チョコレートを数えるのはやめた。
メッセージカードに名前がある物は誰からもらったかわかるけど、名前のない物はぶっちゃけ誰からもらったかわからない。
覚えきれなかった…去年越えだな。
「…太輔、運ぶの手伝おうか?」
「…いや、大丈夫」
思わずめいちゃんが心配するぐらいの量になった贈り物。
鞄にはもちろん部活用のサブバッグにも入り切らなくて、見かねた先生がくれた大きな紙袋も引きちぎれそう。
家まではさほど遠くないけど…帰り道で絶対一個は落とすぞ、これ。
「…めいちゃん、北山見なかった?」
「みつ?…あぁ、そういやさっき隣のクラスの男子に呼ばれてたけど」
「はぁ!?どこ行ったかわかる!?」
「えっ、わかんないけど…階段登ってたから多分屋上…」
「ありがと!!」
「え、太輔!?」
よくわからないけど、とにかく走った。
今朝母さんがテレビで見てた内容を、なんとなく思い出したからかもしれない。
「“逆チョコ男子”だって。最近は色んなの出て来るねぇ〜」
「おちょこ!」
「チョコね、ひろ」
慌てて走って、辿り着いた屋上。
勢い良く扉を開ければ、まさしく北山が小さな紙袋を差し出されている所だった。
ふたりは俺の登場に驚いたようで、目を丸くしている。
「えっ、ちょ…お前…っ」
「…北山、お待たせ。帰ろう」
「き、北山さん、太輔と付き合ってたの…?」
「悪い、北山は俺の女だから。諦めて」
北山の手を無理矢理引いて、教室へ戻った。
夕陽が教室を橙に染めて、誰もいない空間が少しだけ彩られている。
「…っなんなん、だよっ!」
北山は俺の手を振り解いて、少しだけ俯いた。
俺の机に山となって置いてあるチョコレートを見た北山は、それを思い切り俺に押し付けて睨んできた。
「き、北山…っ」
「これも、これもこれも!これも!お前がもらったチョコだろ!?全部、本気でお前に気持ちを伝えたくて…作ってきたチョコなんだろ!?」
北山は俯いたまま、ちいさく肩を震わせ始めた。
「…充分じゃん。…もう、いらないだろ…」
「…北山っ!」
押しつけられたチョコを振り払って、北山を抱きしめた。
足元へ崩れ落ちていくチョコの束。
…でも今は、そんなのどうだってよかった。
朝からずっと、ちょっぴり期待してた。
だけど期待してる物とは違う物ばかりもらって、もう我慢も限界だ。
「…全部いらない。北山だけ、欲しい…」
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谷森山(プロフ) - たみさん» もうおたまママからしたら、「えっ?太輔みっちゃんと結婚するんだよね?」の勢いですね笑 続編もちまちま作成していますので、そちらもお付き合いくださいますと嬉しいです〜(*^^*)お願いいたします(^o^) (2016年5月16日 13時) (レス) id: 2433512750 (このIDを非表示/違反報告)
たみ(プロフ) - 甘々カップルエピソードも気になります!w ドキドキしてるたいぴーかわいいです。これからも楽しみに読ませていただきます。ファミリー大好きです。 (2016年5月4日 18時) (レス) id: ab325a56e8 (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - (・8・)さん» ご感想ありがとうございます(*^^*)!なんとお兄様と読んでくださって!?光栄です(∩´∀`∩)優しいお兄様なのですね、私もほっこりしました(*^^*)よければ今後のお話も、お付き合いくださいますと嬉しいです。 (2016年4月8日 4時) (レス) id: 2433512750 (このIDを非表示/違反報告)
(・8・) - こんにちは!ことりです!私は末っ子でみっちゃんみたいな感じなんですよ…年の離れた兄が4人もいるので、この小説を二番目の兄と見てボロボロ泣きました。親が共働きでほぼと言っていいほど兄にお世話になっているので…この小説で家族の絆が強まりました!! (2016年4月6日 20時) (レス) id: 517f0d7eb3 (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - 345さん» ご感想ありがとうございます(*^o^*)おお、お子様がたくさんいらっしゃるのですね。恥ずかしながら私も母に感謝の言葉を述べた事がないので、お話を作りながら色々考えてしまいました(笑)。こちらこそ、素敵なコメントありがとうございました(*^^*) (2016年3月29日 6時) (レス) id: 2433512750 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:谷森山 | 作成日時:2015年11月13日 1時