検索窓
今日:12 hit、昨日:14 hit、合計:224,587 hit

あなたへ贈るスウィートチョコレート2*F ページ32

数えたらきりがないから、チョコレートを数えるのはやめた。

メッセージカードに名前がある物は誰からもらったかわかるけど、名前のない物はぶっちゃけ誰からもらったかわからない。

覚えきれなかった…去年越えだな。


「…太輔、運ぶの手伝おうか?」

「…いや、大丈夫」


思わずめいちゃんが心配するぐらいの量になった贈り物。

鞄にはもちろん部活用のサブバッグにも入り切らなくて、見かねた先生がくれた大きな紙袋も引きちぎれそう。

家まではさほど遠くないけど…帰り道で絶対一個は落とすぞ、これ。


「…めいちゃん、北山見なかった?」

「みつ?…あぁ、そういやさっき隣のクラスの男子に呼ばれてたけど」

「はぁ!?どこ行ったかわかる!?」

「えっ、わかんないけど…階段登ってたから多分屋上…」

「ありがと!!」

「え、太輔!?」


よくわからないけど、とにかく走った。

今朝母さんがテレビで見てた内容を、なんとなく思い出したからかもしれない。



「“逆チョコ男子”だって。最近は色んなの出て来るねぇ〜」

「おちょこ!」

「チョコね、ひろ」




慌てて走って、辿り着いた屋上。

勢い良く扉を開ければ、まさしく北山が小さな紙袋を差し出されている所だった。

ふたりは俺の登場に驚いたようで、目を丸くしている。


「えっ、ちょ…お前…っ」

「…北山、お待たせ。帰ろう」

「き、北山さん、太輔と付き合ってたの…?」

「悪い、北山は俺の女だから。諦めて」


北山の手を無理矢理引いて、教室へ戻った。

夕陽が教室を橙に染めて、誰もいない空間が少しだけ彩られている。


「…っなんなん、だよっ!」


北山は俺の手を振り解いて、少しだけ俯いた。

俺の机に山となって置いてあるチョコレートを見た北山は、それを思い切り俺に押し付けて睨んできた。


「き、北山…っ」

「これも、これもこれも!これも!お前がもらったチョコだろ!?全部、本気でお前に気持ちを伝えたくて…作ってきたチョコなんだろ!?」


北山は俯いたまま、ちいさく肩を震わせ始めた。


「…充分じゃん。…もう、いらないだろ…」

「…北山っ!」


押しつけられたチョコを振り払って、北山を抱きしめた。

足元へ崩れ落ちていくチョコの束。

…でも今は、そんなのどうだってよかった。



朝からずっと、ちょっぴり期待してた。

だけど期待してる物とは違う物ばかりもらって、もう我慢も限界だ。


「…全部いらない。北山だけ、欲しい…」

あなたへ贈るスウィートチョコレート3*F→←あなたへ贈るスウィートチョコレート1*F



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (343 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
640人がお気に入り
設定タグ:宮玉 , 藤北 , Kis-My-Ft2
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

谷森山(プロフ) - たみさん» もうおたまママからしたら、「えっ?太輔みっちゃんと結婚するんだよね?」の勢いですね笑 続編もちまちま作成していますので、そちらもお付き合いくださいますと嬉しいです〜(*^^*)お願いいたします(^o^) (2016年5月16日 13時) (レス) id: 2433512750 (このIDを非表示/違反報告)
たみ(プロフ) - 甘々カップルエピソードも気になります!w ドキドキしてるたいぴーかわいいです。これからも楽しみに読ませていただきます。ファミリー大好きです。 (2016年5月4日 18時) (レス) id: ab325a56e8 (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - (・8・)さん» ご感想ありがとうございます(*^^*)!なんとお兄様と読んでくださって!?光栄です(∩´∀`∩)優しいお兄様なのですね、私もほっこりしました(*^^*)よければ今後のお話も、お付き合いくださいますと嬉しいです。 (2016年4月8日 4時) (レス) id: 2433512750 (このIDを非表示/違反報告)
(・8・) - こんにちは!ことりです!私は末っ子でみっちゃんみたいな感じなんですよ…年の離れた兄が4人もいるので、この小説を二番目の兄と見てボロボロ泣きました。親が共働きでほぼと言っていいほど兄にお世話になっているので…この小説で家族の絆が強まりました!! (2016年4月6日 20時) (レス) id: 517f0d7eb3 (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - 345さん» ご感想ありがとうございます(*^o^*)おお、お子様がたくさんいらっしゃるのですね。恥ずかしながら私も母に感謝の言葉を述べた事がないので、お話を作りながら色々考えてしまいました(笑)。こちらこそ、素敵なコメントありがとうございました(*^^*) (2016年3月29日 6時) (レス) id: 2433512750 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:谷森山 | 作成日時:2015年11月13日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。