思い出の旅を続けよう*Y ページ20
「へぇ、父さんと母さんキャンプなんて行ったんだ」
「行ったねぇ、懐かしいな」
「で?キャンプでどうなったの?」
「んふふ〜、残念。時間切れでーす」
「えっ、…あ!」
悪戯に微笑む母さん。
気づけば見慣れた玄関の前で、俺が反論する前にさっさと家に入ってしまった。
「も〜、ずるい!」
ここまで聞いたら、気になるじゃん!
「ままぁ〜!」
「やーん、ひろちゃんただいまぁ〜」
帰ってきて、ぱたぱた駆け寄ってきたひろに頬ずりする母さん。
微笑ましいし可愛いんだけど、俺としては続きが気になって仕方ない。
「おかえり、三者懇どうだった?」
奥から顔を出した父さん。
まだお昼過ぎなのに…と思ったけど、そういえば今日は土曜日。
父さんの仕事、土曜日はお昼まで、日曜日はお休みだった。
…しめた!
「父さん!お願いだから続き聞かせて!気になって仕方ないの!!」
「お、おう!?」
ただいまも言わずに父さんの肩にしがみついて、そのまま部屋へ入った。
母さんがひろを抱き上げながらリビングに入ったのを確認して、父さんに今までの話をした。
「あはは…まいったな、痴漢扱いだった話もしたのか…」
「それで!?キャンプは!?どうなったの?」
「まぁまぁ落ち着いて。…うん、キャンプ行ったよ。案の定弥生ちゃんたちはイチャイチャしてて、男子部屋と女子部屋だったはずの部屋割、いつの間にか俺と母さんが同じ部屋だったもん」
父さんは小さく笑って、照れくさそうに頬をかいた。
「バーベキューは楽しかったよ。あの頃から母さん、料理うまくてさ。野菜とかの切り方も絶妙で。…今度、みんなでやろうか」
「渉、帰ってたの?…ごめん、なんか話してた?」
そこへ入ってきた太輔。
部活を終えてシャワーを浴びていたのか、髪がしっとり濡れている。
「お、太輔ただいま。…いま父さんと母さんの昔話聞いてたんだ」
「えっ、なにそれ聞きたい!マッハで髪乾かしてくるから待って!」
慌ただしく出て行った太輔が猛スピードで戻ってきた。
乱れた髪を整えてやりながら、父さんはゆっくり目を細める。
「…ほんと、こういう自分の事はガサツな所母さんにそっくりだな」
太輔は少し恥ずかしそうに俯くと、父さんに向き直る。
髪質は母さん似だと言われる太輔。
父さんはその髪を一度優しく撫でると、天井を仰いで口を開いた。
「…うん、あのキャンプは…一生忘れられないな…」
640人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
谷森山(プロフ) - たみさん» もうおたまママからしたら、「えっ?太輔みっちゃんと結婚するんだよね?」の勢いですね笑 続編もちまちま作成していますので、そちらもお付き合いくださいますと嬉しいです〜(*^^*)お願いいたします(^o^) (2016年5月16日 13時) (レス) id: 2433512750 (このIDを非表示/違反報告)
たみ(プロフ) - 甘々カップルエピソードも気になります!w ドキドキしてるたいぴーかわいいです。これからも楽しみに読ませていただきます。ファミリー大好きです。 (2016年5月4日 18時) (レス) id: ab325a56e8 (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - (・8・)さん» ご感想ありがとうございます(*^^*)!なんとお兄様と読んでくださって!?光栄です(∩´∀`∩)優しいお兄様なのですね、私もほっこりしました(*^^*)よければ今後のお話も、お付き合いくださいますと嬉しいです。 (2016年4月8日 4時) (レス) id: 2433512750 (このIDを非表示/違反報告)
(・8・) - こんにちは!ことりです!私は末っ子でみっちゃんみたいな感じなんですよ…年の離れた兄が4人もいるので、この小説を二番目の兄と見てボロボロ泣きました。親が共働きでほぼと言っていいほど兄にお世話になっているので…この小説で家族の絆が強まりました!! (2016年4月6日 20時) (レス) id: 517f0d7eb3 (このIDを非表示/違反報告)
谷森山(プロフ) - 345さん» ご感想ありがとうございます(*^o^*)おお、お子様がたくさんいらっしゃるのですね。恥ずかしながら私も母に感謝の言葉を述べた事がないので、お話を作りながら色々考えてしまいました(笑)。こちらこそ、素敵なコメントありがとうございました(*^^*) (2016年3月29日 6時) (レス) id: 2433512750 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:谷森山 | 作成日時:2015年11月13日 1時