12話 欠かせない存在 ページ14
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「蝶屋敷?」
「そうっす!蝶屋敷っす。あの蟲柱、“胡蝶しのぶ”の邸宅で、隊士の治療所みたいなとこっすよ。」
「?…何故わざわざ胡蝶しのぶの邸宅で管理しているの」
「あの方が薬学の知識もあるからっすよ。治療は胡蝶さんが直接がしてくれるって話っス」
(…!)
あれだけ多忙で休みも取れないようなスケジュールの中、医者のような事までやっているのか。
彼女はあの小柄な見た目に似合わず(年上だが)、とても逞しいようだ。
「胡蝶さんは凄い人なんスよ!柱である事は勿論、薬学にも精通していて鬼の研究までなさっているんです!鬼殺隊には欠かせない存在っす!」
「··········へぇ。」
“欠かせない存在”ね…。
「それで、犬彦くんは蝶屋敷に行くんだよね。行き方はわかるの?」
「勿論っす!隠しの方に教えて頂きましたから」
「·····もしかして、鬼の研究をしてるって言うのも隠しの方から?」
「そうっすよ!」
「··········」
それはまた、随分と口の軽い隠しが居たものだ。
産屋敷の手足たる柱の情報なんてのは、秘匿されて当然だろうに。
(職務失格だろう
いや…それともコイツがそうさせたのか。)
犬彦には人を寄せつけ、いつの間にか信用させる謎の力があった。天賦の才のようなものだ。
だが、『天は二物を与えず』というように、頭の方はすっからかんだ。
(なに「それがどうした」みたいな顔してる…。隠しが情報を漏らすなんて大問題だぞ)
若干呆れてしまうが不快感は無い。私はペースを崩されるのが嫌いな筈だが、きっと彼の力なのだろう。
そんなとぼけた顔から一転、彼は目をさまよわせ、なにか言いたそうにコチラをチラチラみてきた。
それは何処か不安げに、怯えているようにも見えた。
胡蝶しのぶと言えば隊士の間で女神だと言われていたはず。美女好きの犬彦にしては珍しい。
本来なら上機嫌に鼻歌でも歌っていそうな所なのに。
「…何か言いたいことがあるの?」
「っ!·····いや、その!なんというか…お願い…みたいなのがあるんスけど…」
犬彦の目線が地面を彷徨う。
「その…蝶屋敷、一緒に着いてきてもらいませんか?」
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リートにゃむだ(プロフ) - 叶乃さん» ありがとうございます!!嬉しいです!めっちゃやる気出ました!これからも是非見てくださると嬉しいです!♪ (2023年2月9日 14時) (レス) id: b781749068 (このIDを非表示/違反報告)
叶乃(プロフ) - 初コメ失礼します!作品とても面白かったです!内通者って言う設定がとても面白いです…!これからもが頑張ってください! (2023年2月8日 23時) (レス) @page21 id: aa9cc439ad (このIDを非表示/違反報告)
リートにゃむだ(プロフ) - ぺぽんさん» ありがとうございます…!凄く嬉しいです!!文才がない私が答えるのも烏滸がましいですが、助詞をなるべく使わない、空白と漢字を使いまくり文章をなるべく短くする。ってことくらいです。読みやすいと言われたのは初めてでテンション上がってしまいました笑。 (2023年2月7日 21時) (レス) @page14 id: b781749068 (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - こんにちは、物語楽しく読ませてもらっています! 読みやすく書かれているのに主人公の心情も分かりやすいので続きが楽しみです! 私も小説を書いているのですが、文章がごちゃごちゃして読みづらく…にゃむださんは書くときに、何か気をつけていることはありますか? (2023年2月7日 18時) (レス) @page13 id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
リートにゃむだ(プロフ) - 気づきませんでした。報告感謝です! (2023年2月6日 19時) (レス) @page7 id: b781749068 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リートにゃむだ | 作成日時:2023年2月6日 18時