キミは魔法使い

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突然自分の中の何かがするりと抜け落ちてしまった、
そんな気がした。

言葉が怖い。

そう思ったのはいつの事だったんだろう。

小学二年生ぐらいで既に感じていたような気がする。

素直な言葉を容易に口に出すことがどれだけ恐ろしいことか知ってしまったから。

一度深く刺さった刃はなかなか抜けてはくれなくて。

無言の理解がないことに苦しんだ末の結末は正しいのかと自問自答を繰り返すけど、
コーヒーをかき混ぜてたつ泡が簡単に消えるようには答えはでない。

虚無感しか残らない言葉をいくら吐いてもきっと無意味なことは自分が1番自覚してるのに、相手を傷付けたくないと、自分を守る絶好の言い訳を見つけて縋ってずっと逃げてきた。

素直に言葉を吐くことが

素直な感情を表に出すことが

私にとってどんなに難しいことか

知りもしないくせに

いとも簡単に目の前でそれをやり遂げるあなたが妬ましい。

羨ましくて仕方がなかった。

これは

矛盾した言葉たちを取り囲んだ彼の優しい魔法の、

それを操った言わば魔法使いの話。執筆状態：連載中