僕たち問題だらけの兄弟です4 【stpr】【stxxx】 (ページ50)

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ななもり。side

俺はジェルくんの頭にゲンコツを落とした。

「ってぇ！何すんの！」

「無理なんて言わないで」

姉ちゃんはどこだ。連れ戻すんだ。絶対に。

俺はくるりと振り返ると、部屋の中央向かって歩き出した。

焦っちゃいけない。これはもう学んだはずだ。何があっても冷静を保とう。今できることは何か。まず何から取り組むべきなのか。

「なっ、ななにい！何するの！？」

「校長に連絡を取る。連れ戻す計画を練らなきゃ」

校長に電話をかけるとき、目の片隅にころちゃんがジェルくんの肩をポンっと叩くのが見えた。

朝早いためか、なかなか校長は電話に出なかった。出てくれるのを待っている時、さとにいがおもむろに口を開いた。

「俺さ、もしかしたら恋に揺さぶりかけたら味方になってくれるんじゃないかと思うんだけど」

「え？どういうこと？」

さとにいは顎に手を置いて天井を見上げた。

「車に乗り込んでった時、愛とあきとはもう、なんつーかすごい前しか見えてない感じだったんだけど、恋だけは変な顔してて」
「んー。後味悪いみたいな顔？」

「あーそれちょっとわかるかも！一瞬目が合った！！」

だとすれば、なおさら校長に頼みこもう。

【はい。宮本です】

「あっ、朝早くにすみません。苺山ななもりです」

そして事態の重大さを伝え、恋と連絡を取らせて欲しいとお願いした。

【なるほど…。西門先生を通してみましょう。またこちらからかけ直します。任せなさい。】

「お願い、しますっ…」

先生とは短い言葉を交わしただけだったが、その頼もしさに涙が出そうだった。

姉ちゃんの培ってきた周りへの態度が実っているように感じて、また苦しくなったけど。

「とりあえず、お願いはした」

「このあとどうする？」

みんなは沈黙した。
さとにいがちょっと苦笑した。

「みんな疲れたよな。ここ1週間くらいで、俺らめちゃめちゃ頑張ったし。まだ負けてないし、今は休もう」

「でも…！早く姉ちゃんをっ」

「大丈夫。急がば回れ。1度立ち止まって、次に備えよう」

不満そうなみんなも、ソファやベッドに倒れ込んでしまえば眠り込むまでに時間はかからなかった。

りいこさんは、

「ちょっと家特定してくる」

と言ってホテルを出て行った。俺たちにはできないことも、色んな人が協力して助けてくれる。

もちろん心配だし、不安で仕方ない。安心、とまでは行かないけど、気休めには十分だった。