僕たち問題だらけの兄弟です4 【stpr】【stxxx】 (ページ36)

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まさとside

俺が車で運転すれば兄ちゃんに褒めてもらえる。
もっと必要としてくれる。
免許なんて関係ないんだって教えてくれた。兄ちゃんが言うなら間違いないだろう。

俺は自分の部屋に戻る前に、けいとの元へ飯を運んだ。

ドアを開けると、ゆっくりとけいとが振り向いた。
両手首をロープで結ばれ、ベッドの上から動けないようにされている。

「飯」

裏切り者に情けはいらない。
裏切り者には必要最低限の言葉だけでいい。

けいとの拘束を解くと、こくりと頷いてやせ細った手でスプーンを持った。

「ごめんなさい」

「今更そんなこと言っても許さない。許されるわけがない」

「選択が違えば、もっと違う未来だったのかな」

俺は頭に血が昇るのを感じた。

「なんだよ！お前はまだそんなことを言うか！兄ちゃんはこれから幸せになるんだよ！邪魔すんじゃねぇ！」

俺は後片付けとキツく拘束をかけ直すと、なにも聞かずに部屋を出た。

けいとside

ごめんなさい。
あきと兄ちゃんが出ていったドアを見つめながらもう一度呟いた。

僕は選択を間違えた。動くのが早すぎた。もっと慎重に動けばよかったのに。くそ、恋は器用で今もまだうまく3人を欺き続けてるってのに。

僕が失敗したから、多くの人に迷惑をかけた。もっと上手くやっていれば、愛もあきと兄ちゃんもこんな風にはならなかったはずだった。

あいつらも、Aさんも苦しむことはなかったのに。7人はまだ逃げれられているかな。このまま7人自由に生きてくれ。そうしたらいつか僕もここを出て、いつか、会いに行くからさ。

だから、お願い。
お願いだから逃げてくれ。

「お兄ちゃん！Aさんの居場所特定したよ！」

ドタドタという足音と共に、愛の声が家に響きわたる。

「あぁ…」

だめだ。早く逃げて。逃げて。捕まらないで。ころん、ジェル。みなさんも、どうにかAさんをまもってあげてください。

ここに来たらAさんに明るい未来は待ってないぞ。

お願い。一生のお願いだから逃げて。