僕たち問題だらけの兄弟です4 【stpr】【stxxx】 (ページ35)

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愛side

お兄ちゃんは私の顔を覗き込んで言った。

「アイツらに負けちゃうのは、悔しいよね？」

アイツらっていうのは莉犬とかだろう。莉犬。思い出しただけでも胸がむかむかする。結果的にはAさんを困惑させることが出来たからよかったが、もっと上手くやれていればと未だに眠れない夜がある。

もっと上手くやっていれば、もっとお兄ちゃんに褒めてもらえたかもしれない。そう思うと悔しくて堪らない。

「うん！悔しい悔しい！！絶対やり返す！！」

｢そうだね。じゃあ、2人はAの場所を特定してくれるかな｣

お兄ちゃんが私を必要としてくれている…。嬉しい。それだけで幸福感に包まれ、頭がふわふわしてなにも考えられなくなる。

｢わかった！｣

絶対やり返すの…。絶対ぜったいゼッタイ、捕まえる。そしたらね、お兄ちゃんにホメてもらえるから。

恋side

愛がまた洗脳を濃くされた。すぐ刺激されていいように使われるんだから。それはあきとお兄ちゃんもか。

けいとお兄ちゃんは真面目すぎ。状況を見極めてもっと上手くやればあんなことにはならなかったはずなのに。
私はお兄ちゃんに何を望まれているのか。どういう反応を待っているのかをしっかりと見極めてそれを演じる。

｢絶対…やり遂げる……｣

私が眉に力を入れて小さく言えば、お兄ちゃんは嬉しそうに目尻を下げた。

お兄ちゃんは自分の妄想と現実の区別がつかないところがある。そして現実を妄想と同じようにする癖も昔から。

私と愛の名前とイメージが違うと言い出したり。

私は元々、女の子らしくて、可愛らしいものが好き。恋はクールで間違ったものが大嫌いだったはずなのに。お兄ちゃんに洗脳をかけられたばかりに自分は可愛らしいものが好きだと勘違いしている。
私はお兄ちゃんが演説(仮)している時に洗脳に気づいて自衛したけど、あきとお兄ちゃんは気づかなかった。
けいとお兄ちゃんは途中から違和感に気づいた。

「恋！早く部屋行って調べよう？」

私は無言で頷くと、愛が私の手を引いて走り出した。

愛が1歩踏み出す度スカートが揺れ動く。いいなぁ。私もそれ着たいなぁ。

私は可愛いお洋服が好きだったけど、お母さんはお金を自分で使っちゃうからいつもカツカツで服は自作だった。

恋やあきとお兄ちゃんもそれぞれ苦しい思いをして生活してたから、まさとお兄ちゃんにすがりつき、現実を見ようとしない。

お願い、早く気づいて。

誰か助けてくれないかな。