鶴丸しか知らない話 ページ6
「ねえ、寂しくないの？」
_____鶴丸しか知らない話。
西暦は2205年より少しばかり遡る。歴史修正主義者が現れる、ほんの少しだけ前の話だ。御物として献上され、大切に大切に保管された鶴丸が外に出る機会など滅多にない。毎年元旦に宮中で行われる歳旦祭くらいしか鶴丸の出番は普通はないのだが、珍しいこともあるもので、その年は鶴丸も出る刀の展覧会があった。
「んー、久々だが、特に何をするってわけじゃないしなあ。」
鶴丸がすることは何も無いのである。そりゃそうだ。歴史修正主義者が出たから付喪神の存在が確信されたものの今現在ではそれは迷信的な存在、刀が勝手に動くとかそれなんてホラー？という感じだ。
「ほら見てみろ、この刀は滅多に見れないんだ。忘れちゃダメだぞ。」
「そうなの？」
ふと、優しげな男の声と、その娘だろう幼い少女の会話が聞こえた。仲睦まじい親子である。
鶴丸がその光景を見ていると、ちらと見た少女と目が合った。ぱちくりと目を瞬かせた少女は、鶴丸をしっかりと捉えている。幼子がそういうものが良く見えるのは珍しいことでもなかった。
「ねえ、お名前は？」
鶴丸を見上げて少女は笑った。
父親は不思議そうな顔をしたが「鶴丸国永って刀だよ、」と答える。
「つる…んん…？」
「はは、鶴丸国永、だ。」
鶴丸がもう1度名前をいうと、つるまるくになが、と言葉を反芻していた。
「つるまるは、お友達とかいないの？」
なんとも子供らしくてかわいい質問だった。上手い具合に質問しているようで、父親は子供なりの質問なのだろうと解釈し、鶴丸の来歴を伝えていた。
「そうさな、まあいるにはいるが、いろんなところを転々としてきたからな。」
「お引越し？」
「そんなもんだな」
少女は少し寂しそうな顔をした。
「ねえ、寂しくないの？わたしは嫌だなあ、お引越しで友達と会えないの。」
ぷっと鶴丸は吹き出す。まさかそう言う方向に行くとは思ってなかった。
「きみは面白いな！」
久々に自分が見える人間を見たのもそうだが、しばらくは忘れられない話になりそうだ。
「あ、待ってお父さん！じゃあねつるまる。ばいばい！」
やはり人間は面白いなあ、と当時の鶴丸は思った。
「地獄に、落ちろ」
そう前任の鳩尾にストレート一発ぶち込んだ政府職員が、まさかのその少女で、すごい場所で再会したのであるが。
「きみは本当に面白いなあ」
「はあ」
暫くは心が死ぬことは無さそうだな、と鶴丸は笑った。
まさかのDAKIMAKURAである→←電柱じゃ駄目だったのだろうか
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ぽん子(プロフ) - 琥珀ノ神さん» 今回はギャク路線に走りたかったんですが何せギャグセンスがあまり無いもので…不安だったのですが笑っていただけたのならよかったです。 (2017年8月24日 8時) (
レス) id: c506bd95d5 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀ノ神(プロフ) - 拝啓と恋文を読んでから来たので、なんか不思議な感じです。泣いて笑って忙しいです(≧▽≦) ぽん子さんは読者の喜怒哀楽を操るのが上手いですね！！ (2017年8月24日 0時) (レス) id: 686510b91c (このIDを非表示/違反報告)
ぽん子(プロフ) - きれんさん» コメントありがとうございます！笑っていただけて何よりですww更新頑張りますね！ (2017年8月18日 23時) (レス) id: c506bd95d5 (このIDを非表示/違反報告)
きれん(プロフ) - クッソ笑ったｗｗ予告カオス過ぎやしやせんかｗｗ更新頑張って下さいね！楽しみにしてます！ (2017年8月18日 23時) (レス) id: 1e4db32e5d (このIDを非表示/違反報告)
由良ひよ子(プロフ) - ぽん子さん» ご安心を。私も毎週死んでるんで！OP見るだけで昇天してます… (2017年8月18日 12時) (レス) id: f4a22c3ba0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽん子 | 作成日時：2017年8月17日 11時
