22話。 ページ22
Aside
「はい、ピアスホールできた。似合ってるぞ」
メローネは私の耳を触りながらそう言ってくれた。
なんだか、やっぱり耳に違和感は残ってるけど、一歩大人に近づいたみたいでドキドキする。
『メローネとおそろい……みんなに何か言われるかな…』
「別にいいじゃあないか。似合ってるしほら、見てみろ。ディ・モールト可愛い」
メローネは私に手鏡を向けた。耳元が、キラリと赤く輝く。
『ふふ……嬉しい…ありがとうございます』
おそろい…誰かと同じものを身につけるのなんて、生まれて初めて…。こういうの少し憧れていた。
思い出したのは、ある日テレビで流れていた日本の女の子たち。高校生の彼女たちは、可愛くてイケてるものを色違いやおそろいで友達と身につけていた。心の底から、彼女たちが羨ましかった。なんで私は日本で生まれなかったんだろう…いや、日本で生まれていても、ろくな教育は受けられなかっただろうし、友達も居なかったはずだ。
でもそれが、初めて叶った気がする。思い描いてるような形じゃなかったとしても、何か人と共有するという感覚がとても嬉しかった。
「…君、ほんと可愛いなぁ」
メローネは頬杖をつきながら、そうこぼした。
『……』
この男は、最初私を脅した男なのだ。そう分かっていても、彼は私の心を掴むにはうってつけの容姿であったし、所謂「ウマが合う」という奴だった。おかしな話だけど、たった2日くらいしか一緒にいないのに、私は彼を信頼し切っていたし彼に忠誠を誓うと決めていた。
私と彼は、きっと似てるんだろう。
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梅花 - こんにちは12話も最高です くるちゃんさんもこれから仲良くできたら嬉しいですお二人共これからもよろしくおねがいします (2021年9月21日 10時) (レス) id: 7df7a78d6a (このIDを非表示/違反報告)
4番くん(プロフ) - くるちゃん。さん» ありがとうございます!これからも見てくれると幸いです。 (2021年9月19日 17時) (レス) id: 2a341e36a7 (このIDを非表示/違反報告)
くるちゃん。 - とっても面白かったです! 読みやすいし 内容がしっかりしてるし、最高です! 続き楽しみにしてます! (2021年9月19日 14時) (レス) id: 653f3c1549 (このIDを非表示/違反報告)
梅花 - あひゃーペッシィィ可愛いなぁーおい 次回も楽しみにしてますね (2021年9月19日 10時) (レス) id: 7df7a78d6a (このIDを非表示/違反報告)
梅花 - あっーー10話でしたぁ 失礼いたしました (2021年9月17日 23時) (レス) id: 3d213de61e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:4番くん | 作成日時:2021年9月5日 8時