【ゴールデンカムイ】兵器な彼女2【尾形百之助】 (ページ9)

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59話。ページ9

Aside

皆のいる場所へ戻ると、何やらピリついた空気が流れていた。インカラマッさんとキロランケさんが睨み合っている。

その沈黙を破るように、アシリパさんが声を上げた。

｢キロランケニシパが私の父を殺したのか？｣

え...いや、でもアシリパさんのお父上は網走刑務所にいるはず...。

アシリパさんに続くように、インカラマッさんも話し始めた。

｢...証拠は、馬券に着いた指紋です。私は苫小牧で男性方の指紋を集め、鑑定に出しました。そのうちの一つ、キロランケニシパのものがアシリパちゃんのお父様が殺された現場にたったものと一致時しました｣

｢えッ...｣

白石さんがビックリしてそう声をもらす。そりゃそうだ、彼はのっぺらぼうに会っているのだから。

でもおかしい、確か殺害現場の遺品を回収したのは鶴見中尉だ。ということは、インカラマッさんは鶴見中尉と繋がってることになる。

｢...おい、その女鶴見中尉と通じてるぞ｣

そう言った尾形上等兵は、インカラマッさんにむかって銃を向けた。

｢やめろっ！何を根拠に...｣

谷垣さんが、インカラマッさんを庇うように前に出る。それが気に食わなかったのか尾形上等兵は舌打ちをした。

｢谷垣源次郎〜〜...色仕掛けに丸め込まれたか？...まァいい、俺が言うから信用ならないんだろ。A、お前も言ってやれ｣

『尾形上等兵、』

｢言え｣

『っはい！』

ハッとして背筋がピンと伸びた。彼の、この低くて冷たい声で囁かれるとどうも緊張する。しばらく忘れていた。そうだ、私たちは脱走兵だけれど、彼は私の上官で、私は彼の部下だった。上官の彼の命令に逆らうことはできない。こうされると、どうも昔の癖が抜けず、安めの姿勢を取ってしまう。

『...尾形上等兵の言う通りです。確かに鶴見中尉が殺害現場の遺品を回収していました。つまり...彼だけが指紋の記録を持っていることになります』

私がそう言うと、尾形上等兵は満足したように私の頭をぽんぽん叩いた。